今年の読書(26)『沈黙の終わり(下)』堂場瞬一(ハルキ文庫)
5月
21日
30年以上に亘って埼玉県と千葉県を跨いで繰り返されてきた少女誘拐・殺害事件なのに、全てが未解決という事件の真相を求めて、東日新聞の新鋭「古山」とベテラン「松島」、二人の新聞記者は取材を続けていきます。
だがその最中、当時の捜査担当だった警察署長が、メモを残して自ら命を絶ってしまいます。
背後に蠢く大きな闇が見え隠れする中、「古山」はこの事件に疑問を持ったが故に上層部から圧力をかけられ辞めざるを得なかった、元警察官僚の女性覆面作家「本郷響」と会い、事件の真相に近づいていきます。
そんなおり、事件のもみ消し当時のキャリアとして千葉県捜査二課長の「倉橋」の名が浮かび、真相の裏取りに走りますが、東日新聞の政治部からの圧力を受ける「松島」たちでした。
議員権力と忖度に対して、新聞記者としての矜持との対立を展開させながら、新聞記者への使命に夢を託す、一冊でした。