今年の読書(14)『推しの殺人』遠藤かたる(宝島社文庫)
2月
27日
本書『推しの殺人』は、2024年第22回「このミステリーがすごい大賞」の「文庫グランプリ受賞作(応募時作品名『溺れる星くず』」です。
3人〈ルイ・テルマ・イズミ〉の3人は、大阪で活動する女性地下アイドル「ベイビー★スターライト」のメンバーですが、それぞれ様々な問題を抱えて危機的な状況にありました。
尊大な事務所社長「羽浦」のもと、「ルイ」は24歳の古参としてアイドルに見切りを付けようと悩み。センターを「イズミ」に奪われた「テルマ」は以前の輝きが無くなり、グループ内での人気格差が生まれ、恋人から暴力を受けているセンター「イズミ」でした。
そのような中で、「ベイビー★スターライト」はさらに大きな問題に見舞われます。メンバーの「イズミ」が事務所で社長「羽浦」を殺してしまいます。「イズミ」のDVのあいては社長でした。別れ話のはずみで社長を殺害、「イズミ」の罪を隠蔽するため、「ルイ」と「イズミ」は死体を山中に埋め、殺人事件の隠ぺいを図り、社長を行方不明にしようと企みます。
あとがきにも書かれていましたが、歯切れのよい文章と小気味よいテンポで、アイドル業界の裏面も垣間見られ、楽しめた一冊でした。