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今年の読書(17)『同潤会代官山アパートメント』三上延(新潮文庫)

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今年の読書(17)『同潤会代官...
建築設計にかかわる立場として近代的な集合住宅のさきがけとなりました「同潤会代官山」に目が留まり、著者が『ビブリア古書堂の事件手帳』シリーズの<三上延>とあらば、手にしないわけにはいかない2019年4月単行本が発行され、2022年2月1日に文庫本として発売されています『同潤会代官山アパートメント』でした。

1996年に解体されましたが、かつて東京・表参道にあった同潤会青山アパート。最先端の街にあるツタの絡まるレトロな建物として歴史を刻んでいました。本書『同潤会代官山アパートメント』は、1927年に入居が始まり、1996年に解体された同潤会代官山アパートが舞台の小説で、関東大震災から阪神・淡路大震災を越えて生きた一家4世代の物語が紡がれていきます。

1927年、関東大震災で4歳下の妹「愛子」を亡くした「八重」は妹の婚約者でした「竹井」と結婚し、同潤会アパートの3階に入居します。最新式の住宅にも、自分同様に無口な夫にも戸惑う「八重」でしたが、時代の激流に翻弄されながらも、心通わせる相手と出会い家族をつくり、支え合って生きた4世代の70年の歴史がセピア色の郷愁と幼い頃の記憶が蘇甦り、あたたかな気持ちで満たされる家族小説です。

建設当時のアパートは電気やガス、水洗便所を備えた鉄筋コンクリート造りで、完成時は「先進的でモダン」な住宅でした。次第に時代遅れの古い建物になり、大家族で暮らしていた一家も最後まで住んでいたのは「八重」のひ孫にあたる「奈央子」1人だけになってしまいます。

しかし、一家の心のふるさとはこのアパートにあり、その象徴として、真鍮(しんちゅう)の古い鍵が代々、受け継がれていきます。
#ブログ #文庫本 #読書

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