<太宰治>ゆかりの老舗割烹旅館「玉川」解体
5月
20日
重厚な瓦と黒色板壁に覆われ、国の登録有形文化財に登録されている純和風旅館は、1921(大正10)年創業、100年目でした。文豪<太宰治>が宿泊したことでも知られ文化的価値も高いのですが、市が建物の構造調査などをした後、6月から取り壊される予定です。
「玉川旅館」は国道14号近くの船橋市役所から徒歩1分、高層マンションなどが立ち並ぶ中心街に立地。館内に天然の「湊温泉」を抱え、紅檜(ひのき)の大木をくり抜いた浴槽や、古代檜風呂などが宿泊客に好まれてきました。
昭和10年代には、当時船橋で執筆活動をしていた<太宰治>が同館「桔梗の間」に20日あまり宿泊。小説『ダス・ゲマイネ』(『文藝春秋』昭和10年10月号)などを執筆したとされています。この部屋は閉館するまで客室として提供しており、時を超えて太宰と同じ空間を共にしようと全国からファンが訪れていました。