<小杉放菴 >「煉丹」初公開@小杉放菴記念日光美術館
9月
20日
「煉丹」は制作後ほどなくして開かれた放菴の初個展で展示されて以降、表に出ることがありませんでした。東京・田端にあった<放菴>のアトリエが太平洋戦争時の空襲で焼失したこともあり、行方はさらに不透明になっていましたが、所在が分かり、日光市が昨年、京都の画商から400万円で購入しています。担当学芸員によりますと「放菴の初個展の出品作が、市場に出回るのは珍しい」といいます。
<小杉放菴>(1881年12月30日~1964年4月16日)は32歳で渡欧し、パリで江戸時代の文人画家<池大雅>の「十便図」の複製を見て東洋的な画題に開眼しました。帰国後に描いたのが「煉丹」で、それまでの洋画から日本画に軸足を移す時期の作品といえます。仙人が辰砂を練って不老不死の妙薬を作っている光景で、米点(べいてん)という点描の技法を用いて樹木を描いているのが特徴です。