『時そば』~料理人季蔵捕物控~和田はつ子(ハルキ文庫)
12月
8日
廻船問屋長崎屋の<長崎五平>は、<松岡亭玉輔>と呼ばれる元噺家でしたが、これから毎月「噺の会」を行うので、その題目に合わせて客に出す料理を作ってほしいと頼まれます。
本書は古典落語として有名な『目黒のさんんま』・『まんじゅう怖い』・『蛸芝居』・『時そば』の4話をタイトルトして、それぞれ江戸時代の料理の解説がなされ、グルメ書としてもおおいに楽しめますが、町娘<お恵>の結婚話を巡る、祈祷師<黄泉山日之助>と<西村屋>のあくどい陰謀をあばく捕り物語が並行して語られていきます。
市井に生きる町人の日々の食生活を中心に、義理と人情が味わえる一冊でした。