『QED~flumen~ 九段坂の春』高田崇史(講談社文庫)
4月
15日
数学の証明の末尾に記載されるのが「Q.E.D.」の文字は、「quod erat demonstrandum」の略称で、「以上が証明されるべきだった」、つまり「証明終了」の意味を持っています。
あとがきからすると、本書は本来の主人公<桑原崇(タタル)>の学生時代を舞台として、各作品に登場する<棚旗奈々>や<小松崎良平>・<御名形史紋>達との関連が、「春・夏・秋・冬」という4章から構成され、4つの殺人事件を絡ませてよくわかる連作短篇に仕上げられています。
古典の引用・歴史の解釈・神社仏閣のいわれ等、博識な知識が全編を通じて基本路線をなし、単なる殺人事件のミステリーに終わらない内容に驚きながら、最後の1ページまで目が離せませんでした。