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神戸:ファルコンの散歩メモ

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『千年樹』荻原浩(集英社文庫)

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『千年樹』荻原浩(集英社文庫)
全8話の短篇が納められていますが、どれも連作的に過去と未来が交差する構成で、どっしりと胸に重みを感じる内容でした。

冒頭は、9世紀ごろの地方豪族・浅子一族は、国司として派遣された夫婦と5歳の子供を追放しますが、やがて親子は冬山の中で餓死する場面から始まり、どのような物語が紡ぎだされるのか、わからないまま語り手の世界に読者は没入していきます。

現在では樹齢推定千年と言われる大木に育った「くすの木」は、「日方(ひかた)神社」のご神木となりますが、昔は「ことりの木」(=子盗りの木)と言われ、悲しい歴史を背負ってきています。

地方都市の高台にそびえ立つこの「千年樹」にまつわる人間ドラマが、時代を超えて交差する切ない物語が描かれており、特に『郭公の巣』は圧巻でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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