今年の読書(68)『なんとかしなくちゃ。星雲編』恩田陸(文春文庫)
12月
10日
SFもファンタジーもホラーもミステリも青春小説も自由自在に書き分ける多彩な技量の持ち主の<恩田陸>らしい『なんとかしなくちゃ。星雲編』は、2022年11月7日に刊行され、2025年10月10日に文庫本が発売されています。
読み終わり、文庫カバーのお城のジオラマが意味するところに「なるほど!」と納得しました。
「これは、梯結子の問題解決及びその調達人生の記録である。」と要約されていますが、これも「なるほど!」と思えました。
大阪で代々続く海産物問屋の息子を父に、東京の老舗和菓子屋の娘を母に持つのは、本書の主人公「梯結子」で、4人兄弟の末っ子です。幼少の頃から「おもろい子やなー。才能あるなー。なんの才能かまだよう分からんけど」と父に言われ、「商売でもいけるけど、商売にとどまらない、えらいおっきいこと、やりそうや」と祖母に期待されていました。その彼女の融通無碍な人生が、いまここに始まるということで、「星雲編」は、幼少も頃から大学卒業して、就職するまでの「結子」の人生が描かれていす。
代々兄弟が習う茶道のお稽古、公園の砂場での対応、同級生のお誕生日会、生徒会選挙の応援演説、新聞広告のアイデア、フランス語の勉強、ファミレスのアルバイト、家での晩ご飯当番、大学での城郭愛好研究会、映画が『大脱走』で、誰もが諦めた課題を「なんとかしなくちゃ。」の一心で解決する波乱万丈な「結子」の青春時代の難題な出来事を、ユーモアを交えて読みやすい文章で描いています。
「結子」の「星雲編」がどのような伏線としていかされ、次の「立志編」の展開が楽しみで期待を感じさせる443ページの前編でした。










shiropoko