日本全国にはご当地グルメとして、見て食べてみないと名称だけではわからない料理が沢山あるようです。
本書はコラムニストの<泉麻人>が現地に赴き、そんな「なぞ食」を徹底的に検証したエッセイ集で、カラーイラストも満載、旅行記としても気楽に楽しめる内容でした。
神戸の人間としては、「すじ玉丼」(神戸・三宮<糀屋>)や、「ぼっかけうどん」(神戸・新長田<駅前そば>)・「そばめし」(神戸・新長田<いりちゃん>・<ひろちゃん>・<マッチョ>)、「かつめし」(加古川<飲食家Pit>)などが掲載されていましたので、とても身近に感じられた一冊でした。
今日1月8日は、小森のおばちゃまこと、小森和子さんが亡くなった日。はや3年が経ってしまいました。
神戸とは縁ある人で、22歳の時に神戸にやってきて、英国系船舶会社『P&O』で、OLとして10年勤めました。そのとき上司の子守で同行した三田のゴルフ場で、NHK初代会長の息子「小森」氏と出会って結婚という経歴の持ち主です。
映画ファンとしては、忘れられない解説者でしたね。
くしくも、彼女のお誕生日の11月11日は、淀川長治さんが、亡くなった日付なんですね。
なんか『リーインカネーション』じみて、映画的です。
19世紀後半、北米で最も有名だった実在の無法者「ジェシー・ジェームズ」と、彼を暗殺した「ロバート・フォード」、両者の「ジェシー」暗殺に至るまでの心理を丹念に描き出した西部劇『ジェシー・ジェイムズの暗殺』が、2008年1月12日より全国で公開されます。
悪名高き無法者として数々の犯罪に手を染め、法をあざけり、自分自身のルールで生きてきた「ジェシー・ジェームズ」を<ブラッド・ピット>が扮し。理想に燃える野心家の若者「ロバート・フォード」(ケイシー・アフレック)は、そんな「ジェシー」の仲間になれたことを心から喜んでいましたが、思わぬ事態が彼らを待ち受けていました。
監督は<エリック・バナ>主演の『チョッパー・リード/史上最凶の殺人鬼』の<アンドリュー・ドミニク>が務めています。製作は<ブラッド・ピット>や<リドリー・スコット>などが担当しています。
<ブラッド・ピット>は本作で第64回ベネチア国際映画祭で主演男優賞を受賞しています。
主人公は南町奉行所の同心で、不慮の事故で亡くなった父の後を15歳で継いだ<藤木紋蔵>です。
勤務中でも居眠りをする奇病ゆえ、外回りの仕事がある与力になれずに30年間内勤を務め、妻<里>と5人の子持ちゆえ、つつましい生活を送っています。
本書は、出世的には望むべくもない<紋蔵>が、人生の真実を見据え、人の痛みがわかるがゆえに世間から取るに足らぬという事件に真摯に取り組む姿勢が、心地よい文章で描かれた8篇からなる連作短篇集です。
<紋蔵>に写本の内職を頼む与力の<蜂屋鉄五郎>、幼馴染の内桜田御門では大座配として籠の整理を取り仕切る<捨吉>などの脇役も面白く、また<蜂屋>の次男<鉄哉>と<紋蔵>の長女<稲>との恋仲も気になるシリーズの始まりの一冊でした。
関西で「捌き屋」とは、企業間のトラブルの仲裁や不祥事の後始末をつける仕事を請け負う人間のことを指します。
本書の主人公<鶴谷康>は、成功させるのは絶対に不可能といわれる難題を処理することで有名で、情報を集めるために興信所や新聞記者のスタッフ、そして花房組の組長<白岩光義>などの協力を得ていますが、あくまで一匹狼で処理をこなしていきます。
今回は下水道処理場建設に伴い、工事の受注内定を設計事務所にもらいながら、反故にされた<松島組>から受注トラブルの処理を請け負います。
<白岩>とのあくの強い関西弁の会話が楽しく、またスタッフや自分のマンションの階下に住まわせている元恋人の「クラブ菜花」のママ<藤沢菜花>らの脇役陣がいい味をだしていて、楽しめた一冊でした。
本書は「2004年版このミステリーがすごい!:第1位」・「2004本格ミステリベスト10:第1位」・「第57回日本推理作家協会賞受賞」・「第4回本格ミステリ大賞受賞」と、素晴らしい評価を受けている作品で、読み終えて「なるほど」と納得する構成力と一気に読ませる著者の文章の快活さに脱帽しました。
冒頭から精力旺盛な主人公<成瀬将虎>の性生活の描写から始まりますが、このときから著者の策略にはまってしまう読者になってしまいます。
自称「何でもやってやろう屋」ということで、パソコン教師やガードマン等の仕事をこなしながら、フイットネススタジオで汗を流していますと、高校の後輩<キヨシ>から、想いを寄せているメンバーの<久高愛子>の相談に乗ってほしいと頼まれ、話を聞くと<愛子>の身内が轢き逃げ事故で亡くなり、悪徳商法業者「蓬莱倶楽部」によって保険金詐欺が行われたと思うので調べてほしいと依頼されます。
<成瀬>は高校卒業して2年間ほど探偵事務所に勤めていた経験があり承諾、同じころ地下鉄駅で自殺を図ろうとした<麻宮さくら>を助け、以後デートを重ねる仲になっていきます。
ミステリーですので、詳しくは書けませんが、「えっ!!」と思わせるどんでん返しの伏線がきれいに埋め込まれており、「なるほど」と再度ページを戻っておもわず確認したくなる展開に、ミステリーの賞を総なめにしたのが頷ける力作でした。
主人公は師匠と呼ばれる茶髪の超美形少年<深山木秋>ですが、見たところ20代後半の青年<座木(通称:ザキ)>、元気いっぱいな赤毛の男の子<リザベル>の3人です。
彼ら3人は<深山木薬店>を営んでいますがみな妖怪で、ボランティア的に人間の手では負えない厄介な出来事を解決してくれます。
本書は二部構成になっていますが、第一部では小学6年生の男の子<小海ハジメ>が、「雪の妖精」と呼ばれる現場で遺体として見つかるところから物語は展開していきます。
一見関係がないような事件の解決依頼が続くのですが、それが第二部になり複雑な関係の背景として生きてくる構成は、第11回メフィスト賞受賞作の面目躍如といった感がありました。
年末からしばらくの間、<カラス>の声を耳にしておりませんでした。
今朝方、久しぶりに<カラス>の大きな鳴き声で目が覚めました。
町内の年明けはじめての、家庭ごみの収集日に当たる金曜日です。
なんて<カラス>はかしこいのだと、布団の中で感心してしまいます。
ゴミ置き場に現れるのは、東京歌舞伎町のように、何十羽との大軍ではありませんが、山の開発で木々が消えてゆく環境を考えれば、<カラス>の生活も大変なんでしょう。
昨年、出した家庭ごみに収集車が来るまでにかぶせておくブルーシートが、一回り小さいネットに変わりました。後片付けに出る住民たちも高齢化で、大きなブルーシートを折りたたむのが一苦労だと聞きました。
何かいい解決策はないものかと、闊歩している<カラス>を見ながら、思案してしまいます。
異母兄弟のルポライターの兄36歳の<渡部研吾>が、取材先の奈良で消息を絶ったと、たった二度しか会ったことのない<研吾>の彼女である<君原優佳利>に誘われ、わたし<静>は二人で兄を探しに東京から奈良まで出かけていきます。
<研吾>の取材ルートにそって消息を尋ねていきますが、偶然<優佳利>と称している人物が<研吾>と<優佳利>の高校の同級生<藤島妙子>だとわかり、<静>は<優佳利>の自動車事故死が<研吾>の彼女への嫉妬心からの自殺ではないかと感じ始め、<妙子>は5歳年下の<静>が<研吾>の思いを寄せている人物ではないかと考えています。
父が亡くなった葬儀の場所で、幼い<静>は腹違いの兄<研吾>がいることを知らされますが、以後<静>の母は二人に対して差別することなく接してきていたことがひとつの伏線になり、また<研吾>は童話や寓話を手帳に書き留めて集めていましたが、文中に『愛のサーカス』という話しが、読後にこれまた大きな伏線であることに驚かされてしまいました。
歴史ある奈良の街を舞台に、<男と女>の恋愛感情をミステリー仕立てに構成させ、最後の結末に余韻を残しての終わり方はなんとも切ない気分に陥ります。
今年2冊目の読書は、建築設計を生業としていますので、仕事との直接の関係はありませんが、好きな<建築探偵 桜井京介の事件簿>シリーズを選びました。
『未明の家』(1994年4月:講談社ノベルス)を第一作目として、本書で10作目、番外編を除けば本編として8作目に当たります。
栃木県那須に明治時代に建てられた洋館「月映荘」を舞台として、物語は進みます。
過去に「印南家事件」として二人の女性が「月映荘」にて殺害され、未解決事件として時効を迎えようとしています。
<桜井京介>は、この建物調査に関わり、昔の未解決事件に首を突っ込むことになりますが、殺人現場の当時の生き残りの<印南茉莉>の記憶を中心として、屋敷にまつわる女たちの悲しみと苦しみ、涙と血の歴史にはまりこんでいきます。
いつもは冷静な<桜井>ですが、本書では独り舞台的な視線で物語が展開、建築的な時代考証の部分も少なく、一味変わった構成で楽しめました。
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