不動産不況@中国
1月
18日
2023年の中国経済成長率は「5.2%」と、政府目標の5%前後を達成しています。好調に見えますが、コロナ感染拡大に伴い低迷した前年からの反動増という側面が大きいようです。消費者物価指数の伸び率はわずか(0.2%)と、14年ぶりの低水準に落ち込み、デフレ懸念が強まっています。不動産不況が経済に影を落としており、政府は危機感を募らせています。
行き詰まりのきっかけは不動産不況に伴う財源不足です。不動産開発事業者への土地使用権売却収入は地方政府の主な財源ですが、23年1~11月は前年同期比(17.9%減)の4兆2031億元(約87兆円)に激減しています。これは2021年の同じ時期の6割程度の規模となっています。
中国国家統計局によりますと、2023年の中国全体の不動産開発投資は前年比(9.6%減)と大きく落ち込んでいます。コロナの影響も響き、一部の地方政府は資金不足のため、公務員の給与減額などを余儀なくされているようです。
米格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスは昨年12月、中国の格付け見通しを引き下げています。不動産不況や地方政府の財政不安などを理由に挙げています。
国際通貨基金(IMF)は、2023年の融資平台と地方政府の債務総額が計約106兆元に上ると試算しています。一方、中央政府の債務は約30兆元にとどまり、財務状況は比較的健全です。専門家の間では、中央から地方への財源移譲を求める声が強まっています。