2020年5月に発行され、「昭和の白黒テレビ」から「令和のYouTube」までを取り上げた『押井守のサブぃカルチャー70年』の続編ともいうべき『押井守のサブぃカルチャー70年 YouTubeの巻』です。
著者の映画監督<押井守>のおもな監督作品は、『うる星やつら オンリー・ユー』(1983年)・『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(1984年)・『機動警察パトレイバー the Movie』(1989年)・『機動警察パトレイバー2 the Movie』(1993年)、『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995年)はアメリカ『ビルボード』誌セル・ビデオ部門で売り上げ1位を記録。『イノセンス』(2004年)はカンヌ国際映画祭コンペティション部門に、『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』(2008年)はヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に出品されています。
〈いま〉が凝縮されたYouTubeの動画を視聴しながら気付いた面白さ、そこから垣間見えた現代社会の状況、今を生きる人にとっての「幸福論」、そしてYouTubeというメディアとはいったいなんなのかを追求し、TV Bros. WEBの連載に加筆し書籍化されています。
構成・文は映画ライターの<渡辺麻紀>が担当。カバーイラストは、アニメーター・監督である<梅津泰臣>が描き下ろしています。
取り上げられるチャンネルは、就活情報に特化した『Fラン大学就職チャンネル』」、インド屋台を紹介する『今日ヤバイ奴に会った』、ゲーム実況を配信する『ももじオンライン』など多岐にわたり、アップロードされた短編自主映画や〈テロップとナレーションの力〉といった映像にまつわる話題も語られています。
YouTubeとは言ってみれば窓がズラリと並んだ集合住宅か、窓が無数に穿たれた長い通路のようなものなのですが、他の『窓=メディア』との違いは何かと言えば、その窓の中に個々の風景だけでなく、こちらを覗いている個人の顔、あるいは『中の人』と呼ばれる仮想の人々の顔が窺えることなのです。
この本は『窓の中の顔』『中の人』たちとの出会いの物語であり、コロナを挟む数年の間、僕の世間への興味を繋いでくれた匿名の人たちに関するレポートです。