『愛と哀しみの果て』@NHK-BSプレミアム
8月
22日
20世紀の初め、デンマーク人の「カレン」は、スウェーデン人貴族と結婚し、夫の経営するコーヒー農園のあるアフリカにやってきます。不実な夫に代わって、懸命に農園を経営しながらも、現地の人たちを気遣い、医療の提供や、教育を受けさせようとする「カレン」でした。そんな「カレン」は、イギリス人の冒険家「デニス」に惹かれていきます。
原作は1937年に出版されましたデンマークの国民的作家<アイザック・ディネーセン>の『アフリカの日々』で、自伝的なその「カレン」を演じるのが<メリル・ストリープ>です。冒険家「デニス」を演じるのが<ロバート・レッドフォード>で、端正で清潔感あるたたずまい、にじみ出る教養、自然を愛し、自由に、孤独に生きる男性を演じきっています。
<シドニー・ポラック>監督は、抜群の語り口で自伝的小説をアレンジし、ロマンチックで見ごたえのある作品に仕上げました。1年がかりで建設されたという鉄道やケニアの街並み、雄大なアフリカの風景。青や茜あかね、さまざまな色に変化する空や緑の平原、砂漠、動物たちがケニア各地で撮影された映像美が見るものを魅了します。
音楽は<ジョン・バリー>。『007』シリーズなどで知られるイギリスを代表する映画音楽家です。甘美な弦楽器の響き、見事な挿入局が映画を引き立てています。さらに「デニス」も愛したという<モーツァルト>。なかでもクラリネット協奏曲の優雅で美しいメロディーが印象に残る作品です。