今年の読書(25)『奪還』小杉健治(集英社文庫)
5月
13日
「有原和樹」の妻「恵利」が自宅で殺害されていたのを、「和樹」は居酒屋から帰宅して発見します。「恵利」とは7年前の流産以後夫婦仲が悪くなり、居酒屋でのアリバイが証明されなかったため、「和樹」が逮捕されてしまいます。
「和樹」から弁護を依頼された「鶴見京介」は、「和樹」が犯行時刻に居酒屋でアイヌの楽器「ムックリ」を持った男と相席したという言葉を信じます。調査員「洲本」を使い探し出したその男「浜尾雄一」は、「和樹」を覚えていないと答えた後、会社を辞めアパートを出て姿を晦ましてしまいます。
証言できない事情があるとにらんだ「鶴見」は、「ムックリ」から手掛かりを求め北海道へ出向き、20年前にさかのぼる別事件を解きほぐしながら、殺人事件の真相に迫っていきます。
冤罪を晴らすためには、手弁当で駆け回り努力を惜しまない「鶴見」の活躍が本書でも楽しめました。