寄生生物の「ウオノエ」(写真の紫)(画像:ライス大学コリー・エバンズ)
魚類の進化を調べていた米ライス大学の研究者が、ベラ科の魚の口の中に隠れていた寄生生物を発見しています。寄生生物は魚の舌を食い荒らし、舌のあった場所に寄生していました。「ウオノエ」と呼ばれるこの寄生生物は、さまざまな魚類や生態系で見つかっていますが、どの程度繁殖しているのかは分かっていません。
寄生生物を発見したのはライス大学の進化生物学者<コリー・エバンズ>准教授です。魚の進化に関する研究の一環として、頭蓋骨(ずがいこつ)の形成や、どんな要因が頭蓋骨の形状に影響を及ぼすかについて調べるため、「ベラ」数百匹をスキャンして頭蓋骨の立体モデルを作成し、進化の仮説を検証しようとしていました。
今月10日、いつものように朝からスキャンを開始したところ、口の中がいっぱいになった1匹の「ベラ」を発見しています。口の中に昆虫が入り込んだように見えていましが、「ベラ」の仲間は海草を餌としていることから不審に思って詳しく調べた結果、昆虫のように見えたのは、「舌切り虫」とのあだ名で呼ばれている寄生虫で魚の舌を食べる甲殻類の「ウオノエ(魚の餌)」だったことが判明。
「ウオノエ」は魚のえらから侵入して舌にすみつき、舌の血管を断ち切って血液を吸う。やがて舌は死に、実質的に「ウオノエ」が舌に入れ替わるとか。邪魔になった舌が消えた後はその付け根にしっかりとくっついて舌のようにふるまって身を守りつつ、魚たちの体液や血液を吸ったりしながら成長します。
「ウオノエ」はフエダイ科の魚を好むとされ、ベラ科の「ベラ」の口の中で見つかった理由は不明。CTスキャンで見つかることは珍しく、魚からどのくらいの頻度で発見されるのかも分かっていません。
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