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- 今年の読書(34)『真実の檻』下村敦史(角川文庫)
乳がんで亡くなった母の遺品を整理していた大学生の<石黒洋平>は、押し入れの天井裏に隠されていた手紙と写真を見つけ出し、自分が殺人事件で死刑判決を受けている元検察官<赤嶺信勝>の息子だと知ってしまいます。
犯罪者の息子であると苦悩する<洋平>ですが、まだ死刑が実行されていないということで、実父は冤罪ではないかとの可能性をかけて、冤罪を主体に活動している雑誌記者<夏木涼子>を訪問、二人して事件の再調査に乗り出します。
二人の調査にからめ、弁護士活動の実態、冤罪事件や現在の司法の状況、警察署の留置所を監獄に代用できる「代用監獄」問題などの問題点が丁寧に取り上げられ、人はいかにして罪に落されていくのかが克明に描かれていきます。
読み手をハラハラさせる事件の進展に、事件の真実は?真犯人は?
<洋平>の身の振り方に一抹の未来を託された感じで、物語は終わります。
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