今年の読書(34)『真実の檻』下村敦史(角川文庫)
4月
24日
犯罪者の息子であると苦悩する<洋平>ですが、まだ死刑が実行されていないということで、実父は冤罪ではないかとの可能性をかけて、冤罪を主体に活動している雑誌記者<夏木涼子>を訪問、二人して事件の再調査に乗り出します。
二人の調査にからめ、弁護士活動の実態、冤罪事件や現在の司法の状況、警察署の留置所を監獄に代用できる「代用監獄」問題などの問題点が丁寧に取り上げられ、人はいかにして罪に落されていくのかが克明に描かれていきます。
読み手をハラハラさせる事件の進展に、事件の真実は?真犯人は?
<洋平>の身の振り方に一抹の未来を託された感じで、物語は終わります。