『回転木馬』柴田よしき(祥伝社文庫)
7月
28日
夫自身が探偵であり、京都で開設したその事務所の看板を守るべく、自らが探偵として働いていました。
ある日事件の調査で出向いた新潟で夫らしき人物と遭遇、<唯>は同職で年上の<川崎多美子>と新潟で得た情報から、長野県諏訪地方に出向き、そこのパン屋「たかくら」で、夫によく似た10歳の少女<ゆい>と出会います。
読み手の読者は、夫<貴之>がある事件に巻き込まれて記憶喪失になり、その際に関連した<渋川雪>と逃走していることがわかりますが、ひたむきに夫<貴之>の足取りを追い求める<唯>との再会が叶うのかと、訝りながら読み進めていかなければいけません。
主人公は<唯>に間違いはありませんが、物語の中で悲しみを背負った女性たちが登場、それぞれの人生の喜怒哀楽が交錯するなかで、<唯>の真摯な行動が光る秀逸なミステリーでした。