本書には7篇の短篇が連作で納められていますが、表題の『かってまま』もそうですが、主人公<おさい>に関連する人物たちの性格が付けられています。
物語は宝暦10(1760)年の大火により、生みの親と生き別れた<おさい>が歩む数奇な人生を、それぞれの章にてたくましく生きる女心を絡めながら描いていきます。
養女として引き取った扇子の絵描き夫婦を通して<おさい>の素性を明かし、飯盛旅籠の遊女<かや>との交流は3歳、養女として質屋の女房<おすみ>との関係は10歳、女スリ<おせき>とは14歳で、大工の女房<おらく>では28歳、そして最終章では30歳の時の<おさい>の人生が、<鶴屋南北>の目線をとおして描かれています。
<おさい>の探し求めてきた「しなければならないこと」が最終章で完結しますが、<おさい>と登場人物たちの縁と生きざまが、じんと心に沁みる構成でした。
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