今年の読書(164)『生きているかい?』南木佳士(文春文庫)
12月
16日
本書は一年間を通して新聞に掲載されたエッセイが52編、著者が内科医として勤務している長野県佐久間市近辺の四季を背景に、綴られています。
著者自身が「うつ病」の経験者として自分と「わたし」を見極めながら、生活の中から人間の生き様を見つめる目線は、日常に宿る大切なものをやさしく描いています。
文中の、<青春時代に戻りたい、などと平気で口にできるひとは信じない。若くてみっともななかった時代を忘れてしまえる能力のあるひととは酒を呑めない>など、さりげない一言に共感を覚えながら読み終えました。