『エンド・ゲーム:常野物語』恩田陸(集英社文庫)
5月
25日
<拝島時子>は、ゼミ旅行から帰ってくるなり、母<暎子>が突然睡眠状態に陥ったと母の部下の<河合詩織>から連絡を受け、病院に出向きますが、『あれ』によって『裏返された』と考えます。
<時子>は<常野一族>として、一族間の結婚はできないという不文律を破った父と母を持ち、父は10数年前に『あれ』に『裏返された』のか、行方が分かりません。
母を看取る間、<時子>は『裏返された』人を呼び戻す『洗濯屋』と呼ばれる<常野一族>の<火浦>という男と出会い、母を再度こちら側に連れ戻すべく行動を起こしていきます。
子供の頃の原体験を背景に、二転三転する筋書きの構成で最後まで読者を惑わし、迷路のごとく複雑な展開が広がり、最後は思わぬ結末に導かれるという「恩田ワールド」にはめられた心地良さで、読み終えることができました。