第56回江戸川乱歩賞受賞作品で、単行本としては2010年8月の刊行になります。文庫化の際、「余分な情報がないから読者を限定せずに想像力を刺激してくれる」という選考委員と著者の一致した判断により『再会』という漢字2文字に改題されています。
物語の主軸には、小学校6年生の時に起こった銀行強盗事件に関連した拳銃を校庭にタイムカプセルとして埋めた4人、<岩本万季子>・<清原圭介>・<佐久間直人>・<飛奈淳一>が23年後、それぞれの人生を歩んでいた彼らに、<直人>の義兄がタイムカプセルに隠していた拳銃で射殺される事件をきっかけに4人が再会します。
タイムカプセルの埋めた場所と暗証番号は4人だけしか知らないという設定のもと、卒業してからの4人の人生を伏線として、捜査一課の刑事になっている<飛奈>は、仲間を信頼しながらも捜査を進めていかなければなりません。
かなり凝った構成で、随所にミステリーお決まりの伏線が引かれていますが、銀行強盗事件で流れ弾に当たって亡くなった女性の名前が頻繁に出てくるなど、ミステリーファンとしては過剰な伏線だと見抜いてしまえる個所もありますが、<飛奈>と組む本庁の刑事<南良>の冷静な分析が楽しめ、乱歩賞受賞の作品として楽しめました。
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