8月
7日,
2024年
《雅羅・/・襍懐古〝山の花Ⅶ〟❖ ’24-220 ❖》

学名:Draba sakuraii var. nipponica
別名:タカネナズナ(高嶺薺)、ミヤマナズナ(深山薺)

岩場の隙間やくぼみにへばりつくように生えている。
草高9~15 cm程。茎は株立ちになる。
根出葉は、へら状線形~倒披針形。
上半部に深い鋸歯、表面は光沢がある。
葉にはふつうの毛、2つに分かれる毛、
そして「星状毛」が密生している。
花をつける茎には数枚の茎葉が互生。
花をつけない茎は1cm~2cmの
ごく短い数枚の葉がかたまってつく。
葉は、基部で茎を抱いている。
縁には細長く尖ったギザギザ(鋸歯)がある。
花は短い花序の先に付く。
花弁は白色で倒卵状楕円形。
長さ6ミリ程の4片花。
中部地方に分布する。日本固有変種。
八ヶ岳では稜線で見られる。
クモマは「雲間」で高山を意味する。
アブラナ科の果実の形は色々ある。
楕円形、円柱形、ハート型等々。
こういう果実を「角果」と呼ぶ。
花期は6月~8月上旬。絶滅危惧 Ⅱ類 VU種。
8月
6日,
2024年
《雅羅・/・襍懐古〝山の花Ⅵ〟❖ ’24-219 ❖》

イワベンケイは,高山や海岸の岩場に生える多年草。
本州では中部地方の高山で多く見られる高山植物。
北海道では海岸に生えていることが多い。
全草肉厚で無毛、雌雄異株。草丈は10-30cm。
多数の茎を立ち上げ、葉は長さ1-4cmで形は変化が多い。
先は鋭頭~鈍頭、先端部近くに鋸歯があるか全縁、無柄。
雄株では上部の葉が、雌株では下部の葉が大きくなる。
花は茎頂に密な散房状に付き、花弁は、4-5枚。
雄花の花弁は線形~長楕円形、雌花の花弁は萼片より短い。
裂開前の葯は黄橙色。苞はないか少数。

ウルップソウやハクサンイチゲ、オヤマノエンドウ等のお花畑があり、
その中に混ざって咲いていたイワベンケイ。
(1980年代)
《赤岳登山で見た花〝岩弁慶〟8月草花Ⅵ ❖ 1962/夏 ❖ 》
赤岳から硫黄岳の縦走路に高山植物見られる、と教わった。
が、赤岳山頂付近や登ってきた尾根上にも花が色々と見えていた。
当時は知らなかったが、ハーブやサプリメントとして用いられている。
イワベンケイ根エキスと称して太くて長い根茎を用いているらしい。
肌の弾力を生み出すエラスチンをつくる効果があるとされる。
乾燥するとバラのような芳香があるため「ローズルート」の別名がある。
「令和陸年(皇紀2684年)8月6日、記」
8月
5日,
2024年
《雅羅・/・襍懐古〝山の花Ⅴ〟❖ ’24-218 ❖》

亜高山帯から高山帯の湿った草地に自生する日本固有の高山植物。
お花畑の様な群落をつくり、一面に咲き乱れる光景は実に美しい。
草丈は10~40cmで直立し、根出葉は長柄をもった3出複葉。
小葉は、其々が手のひら状に2~3回深裂し裂片の先が尖っている。
花は、一茎に1~5個つき、白い花弁の様に見えるのは萼片で花弁はない。
少し先端が尖った形状の萼片は5~7枚。
花の中央部には黄色の雄蕊、緑色の雌蕊が密集している。
「イチゲ」とは、通常は1株に1つの花をつける花のこと。
だが、イチリンソウ属の植物に多く付けられる名前、花が一輪とは限らない。
《赤岳登山で見た花〝白山一華〟8月草花Ⅴ ❖ 1962/夏 ❖ 》
赤岳から権現山・編笠山への稜線には高山植物が見えた。
頂上で早々に昼食を済ませ植物を見て回った。
しんがり(最後尾)で上がってこられた責任者のK先生。
師は、物理学校(現東京理科大学)山岳部リーダーだった方。
高山植物にも造詣深い方だった。思い出は尽きない。
ハクサンイチゲの「ハクサン」とは、石川県の白山のこと。
日本の植物研究は古くからあったようだが、
日本の植物研究は古くからあったようだが、
明治期の西欧文化渡来で、植物学も発展した。
高山も研究対象となり、登山の案内人のいる山で調査が始まった。
白山は江戸時代から山岳信仰の霊場として登られてきた歴史がある。
当時の植物研究家は、山岳案内人の案内により白山で多くの植物を発見。
それ故に、植物に白山の山の名を付けたものが多々ある。
白山以外でも同じ高山植物が続々と発見されたが、初見発表の花名が正式名。
白山以外でも同じ高山植物が続々と発見されたが、初見発表の花名が正式名。
又、「ゴゼン」という名の付く花も多いが、白山の御前峰のことである。
「令和陸年(皇紀2684年)8月5日、記」
8月
4日,
2024年
《雅羅・/・襍懐古〝山の花Ⅳ〟❖ ’24-217 ❖》

《赤岳登山で見た花〝長之助草〟8月草花Ⅳ ❖ 1962/夏 ❖ 》
赤岳登山のクライマックス、稜線に出た辺りは高山植物があちこちに。
夢中で撮った。先導者の大先輩についていったお陰で色々教えて頂けた。
チョウノスケソウ(長之助草);
チョウノスケソウは、高山性・匍匐性・矮小常緑低木。
本州以北~北海道の高山のガレ場に自生している。
環境が厳しい高山に生えるため株高は5~10の木。
本種だけで1属を構成する1属1種の矮性落葉低木。
種小名の"octopetala"、という表現もバラ科では特異。
octo(8)+ petala(花弁の)=(八弁花の)。
葉は少し紅葉し雪下で休眠する。7月~8月に葉を出す。
その後、葉腋から長さ4~10cmの花柄を出して蕾をつける。
チングルマ(稚児車)似の2~3cmの白い八弁花を咲かせる。
根は岩の隙間に入り、枝は地を這い分枝してマット状に広がる。
新葉が展開しても枯れた古い葉が落ちずに残っている。
葉は互生し革質、長さ1-2.5cm、幅0.5-1.5cmの卵状楕円形で鋸歯がある。
表面は深緑色で6-8対の側脈に沿ってへこみ、縁が裏面にやや巻き込む。
その姿は、花のない時期でも葉を見れば識別出来る程独特である。
裏面に綿毛が密生して純白。葉柄は長さ1-2.5cmで短い軟毛がある。
枝先に直径2-3cmの白色~黄白色の花が1個つく。
花柄は長さ3-10cmで直立、花弁は長さ1-1.5cm、幅5-7mmの楕円形で8個。
雄蕊と雌蕊は、長さ5-6mmで多数ある。
萼は短い軟毛が生え、萼片は花弁と同数で披針形。
チョウノスケソウの名はロシアの植物学者マキシモウィッチの命名に由。
立山で1889年に初めて発見したのが須川長之助氏。
マキシモヴィッチ氏が日本の植物を採集した際の協力者。
須川氏が採集した標本をマキシモヴィッチ氏が検証し命名した。
チョウノスケソウはウルップソウ等とともに北半球の独特な植物。
氷河周辺に特徴的にみられる「ドリアス植物群」の代表的な植物。
「令和陸年(皇紀2684年)8月4日、記」
8月
3日,
2024年
《雅羅・/・襍懐古〝山の花Ⅲ〟❖ ’24-216 ❖》

《赤岳登山で見た花〝黄花の駒の爪〟8月草花Ⅲ ❖ 1962/夏 ❖ 》
植物を自分で初めて撮ったのが赤岳登山のとき。
親のカメラで撮った。その記録写真は、文化祭で展示した。
記憶を頼りに山の植物探訪を思い起こしてみると、
初めての高山植物との出会い、何もかも感動であった。
その後山行の折、色々な高山植物と出会えた。
特に印象深いのは、〝ヤツガタケキスミレ(八ケ岳黄菫)〟。
初見は大学2年の夏で、当時は〝タカネスミレ〟と教わった。
まだ正式種名が、定まっていない頃である。
初見場所、横岳から硫黄岳に向かう稜線の登山道脇の砂礫地。
今と違い情報は図鑑だけの時代。実際の花見聞が先だった。
正式名称を知ったのは、1980年代。偶然読んだ資料による。
Bull. Kanagawa Pref. Mus. Nat. Sci. no. 7: 19, f. 30, 33, 36, f. 41-47; B (1974).
これを読んだあと、初登山で見た花を〝八ケ岳黄菫〟と思ってきた。
先般、ブログル記事に書こうと思い調べ直したら、、、?
思い込んでいた花は、上記の〝キバナノコマノツメ(黄花の駒の爪)〟
当時の写真は、段ボールの中で探すのは大変、でやめた。
それにしても似ている花ってあるものだ。よくよく観察しないとダメだ。
〝ヤツガタケキスミレ(八ケ岳黄菫)〟はいずれ記録に残そう。
キバナノコマノツメ(黄花の駒の爪);
和名は葉の形が馬の蹄に似て、花が黄色なことに由来する。
葉は直径2~4㎝の円腎形で、葉にまばらに毛が生え、薄い。
花は直径1.5~2㎝、鮮黄色。花弁が細く、基部に暗紫色の筋がつく。
側弁基部は無毛。タカネスミレは葉が厚く、光沢がある。

スミレの仲間では珍しい黄色の花、葉形が馬の蹄に似てる事で名が付いた。
草丈は5~15センチ、花の直径は1センチ位。
至仏山や谷川岳などの超塩基性岩地には,ほとんど無毛の群落があり,
ジョウエツキバナノコマノツメf.glabrifoliaと呼ばれている。
8月
2日,
2024年
《雅羅・/・襍懐古〝山の花Ⅱ〟❖ ’24-215 ❖》

赤岳登山当日は、快晴。2500m以上の山には登ったことがない。
若さだけだが、ワクワクして登ったのを覚えている。。
美しの森・牛首山と登って扇山のダケカンバ帯に入った。
級友を待っていた時目に入ったのが“タカネニガナ”。
高山~亜高山帯の砂礫地や岩場に生育する多年 草。
茎は、細く直立する。まばらに枝を分け草丈5~20cm。
根生葉は長さ3-8cm、幅0.4-1.2cmの倒披針状へら形。
根際から生える葉は、全縁またはまばらに刺状の鋸歯がある。
茎葉は、長さ8cm以下の披針形で1-3個つく。
基部は茎に向かって次第に細くなり葉柄に続き、茎を抱かない。
細かく分枝した茎の先に多数の頭花がつく。直径2cm程の舌状花。
日差しがないと開かない。舌状花は8-11個あり鮮やかな黄色。
総苞は長さ6-8mm。白花のものもあるらしい(未見)。
花名は,葉や茎に苦みがあることから付けられた。 日本固有種。
「令和陸年(皇紀2684年)8月2日、記」
8月
1日,
2024年
《雅羅・/・襍懐古〝山の花Ⅰ〟❖ ’24-214 ❖》

学名:Fragaria nipponica Makino
別名:モリイチゴ
ヘビイチゴに似て白い花をつける事から名付いた。
ヘビイチゴとは別属のオランダイチゴ属。
低山帯~高山帯の日当たりのよい草原や礫地に生える。
茎高5-20cmの多年草。長く地をはう匐枝を出し広がる。
花柄や葉柄に開出毛がある。葉は根生し、小葉は3出複葉。
小葉は長さ2~5㎝の卵形~長楕円形で5-12対の鋭鋸歯がある。
側脈がくぼみ、よく目立つ。両面に伏毛がある。
花茎は直立し、先端に直径1.5~2㎝の白色の花を数個つける。
花弁、萼片、副萼片は5個。雄蕊、花柱は多数。
果実は花床が肥大して直径1cmほどになり赤く熟す。
表面に多数の痩果がらせん状に並ぶ(イチゴ状果)。
食用栽培種のオランダイチゴの仲間だけに甘く美味で香りも高い。

よく似たものにノウゴウイチゴ Fragaria iinumae がある。
本州の日本海側や北海道、サハリンに分布。
ノウゴウイチゴは、花が直径1.5~2.5㎝。
花弁が7-8個ある。葉の側脈はへこまない。

初めての高山登山は、高校Ⅰ年の夏。
今や保養地・観光地になった小海線の清里高原。
隣駅の野辺山は、日本最高地の駅で知られている。
高校1年の夏休み、林間学校と称して清里の国民宿舎に滞在した。
当時の清里と云えば、清泉寮と国民宿舎の八ヶ岳ロッジ。
今の清里では想像もできないほど静かで登山者しか居なかった。
希望者で赤岳登山をしたのだが、今では無謀と云われかねない。
登山経験者は、引率教師1名とOBの協力者1名。
教師は数名参加したが、高山経験者は居なかった。
天候に恵まれた赤岳登山は、感動の連続で今でもはっきりと思い出す。
山にのめり込むきっかけの登山。高山植物にも関心を持った登山。
美しの森で見た“シロバナヘビイチゴ”が、初見の高山植物だった。
「令和陸年(皇紀2684年)8月1日、記」
7月
31日,
2024年
《雅羅・/・襍録〝森の山煙草〟❖ ’24-213 ❖》
学名:Hydrangea involucrata Sieb.
synonym Platycrater involucrata (Siebold) H.Ohba & S.Akiyama
別名:ヤマタバコ(山煙草)
《水車小屋広場の垣根〝玉紫陽花〟7月草花XXVII ❖ ’24/07/30 ❖ 》
タマアジサイ(玉紫陽花);日本固有種・落葉低木。
宮城県南部〜紀伊半島の太平洋側、長野県・新潟県〜福井県の山地・谷間・沢沿いに自生。
樹高は1-2m。樹皮は灰白色から茶褐色で、成長すると薄く剥がれる。
葉は十字対生し、葉身は長さ10-25cm、幅4-10cmの長楕円形〜倒卵形。
先は鋭く尖る。縁に歯牙状の細かい鋸歯が密にあり、両面には硬い毛がある。
冬芽は1個の頂芽と2個の対生する側芽がある。
頂芽は芽鱗に包まれ、長さ6~8㎜、芽鱗は薄く、粗い毛が多数ある。
側芽は頂芽よりも小さい。
葉痕が冬芽の下にあり、V字形~三角形、維管束痕は3~5個ある。
枝先に苞に花序が包まれた蕾をつけ、蕾は球形、直径1.5~3.5㎝。
蕾が開くと、包んでいた苞は落ち、散房花序状の集散花序が開く。
花序は直径10~15㎝、花序軸には白色の短毛が密にある。
花序の周辺に装飾花をつけ、花弁状萼片は3~5個、白色~帯紫白色。
花序の中央部に淡紫色の両性花を多数つける。花弁は5個、雄蕊10本。雌蕊1本
花期は7~9月。蕾が玉のように見えることからタマアジサイと名付けられた。
別名は、かつてはこの葉を葉煙草の代用として用いられていた事による。
タマアジサイの品種;
*ギョクダンカ(ヤエノギョクダンカ)
花びらのように見える装飾花の萼片が重層化し、八重咲きのように見える品種。
*ラセイタタマアジサイ、伊豆諸島に見られる品種。
ゴワゴワした葉をラセイタソウと同様にラシャ(羅紗=羅背板)に見立てて命名。
蕾や花の様子はタマアジサイと同じ。
*ヨウラクタマアジサイ
大島(伊豆諸島)に見られる品種で、花全体が白い装飾花に覆われる。
*ミハラココノエタマアジサイ
八重咲きの花が手鞠状に咲く品種
*テマリタマアジサイ
丹沢山(神奈川)の周辺に見られる品種で、名前のとおり花が手鞠状になる。
*ヒマラヤタマアジサイ
ヒマラヤ及び中国西部が原産。本種よりも葉は黄色っぽく、蕾や花の形が異なる。
「令和陸年(皇紀2684年)7月31日、記」
7月
30日,
2024年
《雅羅・/・襍〝森の妖精花〟❖ ’24-212 ❖》

レンゲショウマ(蓮華升麻);
東北地方南部から近畿地方の太平洋側の山地の湿り気ある林下に生育する多年草。
亜高山帯では落葉樹林に下草のように生えることが多く見られる。
花は蓮に、葉が晒菜升麻に似ていることから名付けられたと言われる。
茎は細くて高くのび、草丈40-80cm。花茎の下部に茎葉と根出葉がある。
根生葉や下部の葉は、2~3回3出複葉で、 小葉は卵形で粗い鋸歯を持つ。
高く伸びた花茎上部に光沢ある薄紫の花が、様々な方向を向いて下向きにつく。
花弁状に開いているのは萼片、 その内側に花弁が多数の雄蕊を囲んで輪になる。
その中心に雌蕊があり、花弁の先は濃い紫色。 萼片7~10枚、花弁は10~12枚。
日本固有種で神奈川県レッドリスト2020「絶滅危惧IB類」。
7月
29日,
2024年
《雅羅・/・襍〝備忘録'24-18〟❖ ’24-211 ❖》

学名:Neofinetia falcata (Thunb.) Hu
synonym Vanda falcata (Thunb.) Beer
英名:Samurai orchid, wind orchid
別名:フウキラン(富貴蘭)

樹幹に着生し、数本の白色の根を出す。茎は長さ1~6㎝、4~20個の葉がつく。
葉は長さ5~12㎝、幅0.7~1㎝の狭い楕円状かま形、厚みがあり、革質で硬い。
花序は長さ5~8㎝、2~5個の花をつける。
花柄は長さ1~3㎝、小花柄と子房は長さ2.8~5㎝。苞は長さ7~9㎜。
花は白色、甘い芳香があり、夜、芳香が強くなる。
萼片は長さ8~10㎜、幅2.5~4㎜のほぼ倒卵形。
側花弁は長さ8~10㎜、幅2.2~3㎜ 倒披針形~さじ形。
唇弁は3裂し、側裂片は長さ3.5~4㎜、幅0.8~1 2㎜の楕円形。
中央裂片は長さ7~8㎜、幅2~2.5㎜、わずかに膨らんだ3つの尾根がある。
距は細長く、弓形に曲がり、長さ3.5~5㎝、太さ1.5~2㎜。

フウランは、茨城県以西、四国、九州に分布する、樹幹等に着生する。
高さ約15cm程の常緑性着生植物。茎は短く葉鞘が残る基部から、気根を出す。
日本原産で、耐寒性多年草で常緑樹に着生し、夕方~夜に芳香を出す。
江戸時代から栽培されており、園芸植物名は、フウキラン(富貴蘭)。
和名は風の抜ける場所、風に運ばれて木に止まった状態に由来。
英語圏での呼称はSamurai orchidとよく表記されている。
和名の風蘭は漢名の風蘭からだ。日本固有種的な〝侍蘭〟と呼びたい。
花自体を見ていると、純白な花は和風といった風合いがある。
後ろで大きくカーブし垂れ下がる距に、欧米人は日本刀をイメージしたか。
土に根を下ろすことがない(着生蘭)、往古の野武士的では、、、!
現鎌倉八幡宮や寺社各所、社等々鎌倉時代を思える場所で咲いている。
江戸時代に開花した日本独自の園芸文化。歴史的変遷の下、今がある。
幕末に日本にやってきた欧州のプラントハンターの旅行記を読むと驚く。
英語でSamurai’s Orchidと呼ばれていることを誇りに思う。

(1)フウラン Vanda falcata (Thunb.) Beer; Neofinetia falcata (Thunb.) Hu
常緑性.茎はやや叢生し,
高さ 1~2cm で左右から数個の鱗片葉におおわれて偏平.
葉は革質で硬く長さ 5~10cm,幅 7~8mm,5~10 枚つき断面は V 字形.
花茎は長さ 3~10cm.花期は 7~8 月.花は 3~7 個を総状につけ白色.
苞は卵状披針形.萼片と側花弁はわずかに反転する.
唇弁は舌状で肉質,中裂片は狭卵形,側裂片は半円形.
唇弁の基部から細長い管状の距が前方に向かって湾曲している.
蒴果は長楕円形.
本州(茨城県以西),四国,九州,琉球;朝鮮,中国に分布する.
常緑広葉樹林内の樹幹や樹枝に着生.
県内では古くから横浜(金沢),鎌倉,逗子(神武寺),葉山,
南足柄(大雄山)が産地として知られ,
ところによってはイヌマキ,クスノキに数 100 株の着生も見られたが,
現在では乱獲によって激減し,消滅したところも多い.
『神 RDB06』では絶滅危惧ⅠB 類とされた.
身近な泉の森にも〝侍蘭〟が居るのではないか!!
探索する散歩も楽しい。
「令和陸年(皇紀2684年)7月29日、記」