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神戸:ファルコンの散歩メモ

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  • ハッシュタグ「#詩」の検索結果997件

『植物図鑑』有川浩(角川書店)

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『植物図鑑』有川浩(角川書店)
『植物図鑑』という表題ですが、植物の図鑑ではありませんが、植物好きの人にはたまらない知識が詰まり、表・裏表紙には、各種の野草たちのカラー写真がきれいに並べられ、10章はどれも野草たちを中心に物語は進みます。

主人公の<河原さやか>は26歳のOL、勤め帰りにマンションの入り口で行き倒れの男<樹(いつき)>と遭遇、家で介抱した縁で同居生活が始まります。

<樹>は料理もうまく家事もそつなくこなし、<さやか>はいつしか恋心をだくようになりますが、彼はそんなそぶりを見せない態度で共同生活が続きます。
<樹>は植物の知識が豊富で、週末は<さやか>と連れ立って<ワラビ>や<イタドリ>・<フキ>などを採集、素朴な素材を用いて山菜料理を楽しむ生活が続いていましたが、ある日突然彼がいなくなってしまいます。

<さやか>は失恋のままで終わるのかと読者に疑問を投げかけますが、素敵なエンディングで物語は閉じられ、ほのぼのとさせられる構成でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『神さまってなに?』森達也著

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『神さまってなに?』森達也著
「神様、仏様、稲尾様」というのがありましたが、誰もが一度位は祈ったことがあることだと思います。

仏教、キリスト教、イスラム教という世界三大宗教を中心に、「信仰とは何か」というテーマで書かれた本なのですが、内容は別として、サブタイトルに興味がわきました。

この書籍は<14歳の世渡り術>というシリーズの一巻で、そのまま大人になるつもり?ということで、中学生向きに書かれています。

14歳というのが微妙な年齢で、15歳になれば高校入試の時期になるでしょうから、のんびりと読書など出来ないのではと考えてしまいました。

ゆとり教育といいながら、余った時間は受験勉強をせざるを得ない状況でしょうが、14歳というまだ余裕がある頃に、教科書の勉強以外に目を向けて世界を考えもらいたい気持ちがよく分かります。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『春情蛸の足』田辺聖子(講談社文庫)

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『春情蛸の足』田辺聖子(講談社...
<田辺聖子>の小説は大阪府生まれの作家として、関西弁が生きていますので、肩が張らずに読めます。

本書は8話の短篇が収められていますが、どれも関西の名物料理を中心に置き、各短篇に登場する40代の男はそれぞれに好物料理に固執する性格を持ち、現実的な考え方をする女性陣達に喧々諤々としながらも、「所詮人生なんてこんなもんだろう」という喜怒哀楽を漂わせながら、ユーモアたっぷりに描かれています。

登場する料理は、「おでん」・「きつねうどん」・「すき焼き」・「お好み焼き」・「くじら」・「たこやき」・「てっちり」・「白味噌汁」等、どれも関西ならではの構成です。

<タベモノは何でも、一緒に食う相手によるねんな>という台詞が、『たこやき多情』の中に出てきますが、まさに相槌を打つと共に言い得て妙の食と恋の短篇集でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『裁判官に気を付けろ!』日垣隆(文春文庫)

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『裁判官に気を付けろ!』日垣隆...
「建築紛争事件」に関して、建築分野の専門家として裁判所に出向いていますので、裁判所や裁判官の話題や実状に関しては、どうしても興味を持ってしまいます。

この2009年5月21日より「裁判員制度」が施行されますが、序章を含めて問題点を指摘されています。

また過去の判例を多く用いて、判決の理不尽さを痛快に切り込み、明治時代からの刑法の矛盾点をつき「バカタレ判決」に異議を唱えています。
わたしも「心神喪失」や「心身耗弱」などの理由で不起訴や無罪となるのは納得がいかず、殺人行為自体を正常に行う人間はいないはずです。

判例主義的な日本の判決にも疑問を感じますし、死刑・無期懲役に関する事件だけを「裁判員制度」の対象としているのも、国民の常識を反映させるには、矛盾を感じ得ません。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『神去なあなあ日常』三浦しをん(徳間書店)

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『神去なあなあ日常』三浦しをん...
日本の衰退気味の林業の世界を舞台に、一人の若者が成長してゆく過程が、山の壮大な自然を舞台に見事に描かれている一冊でした。

主人公の俺こと<平野勇気>は高校卒業後の進路を決めておらず、担任から「緑の雇用」制度の研修生として、三重県と奈良県の県境にある「神去村」に送り込まれます。

そこは携帯電話も使えない山間部で、<勇気>は地元の大山持ち<中村林業>に就職、山仕事に関しては天才的な技量を持つ<飯田与喜(ヨキ)>の指導の下、広大な山の手入れの修業が始まります。
<中村>家で見かけた地元小学校の女性教師<直記>に恋心が芽生えるなか、神去村では48年に一度の「オオヤマズミ」の大祭りが開催されようとしていました。

林業の現実として山言葉や詳細な専門用語がちりばめられ、<勇気>の成長に共感を覚えながら、面白く読み終えれました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『エンド・ゲーム:常野物語』恩田陸(集英社文庫)

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『エンド・ゲーム:常野物語』恩...
『光の帝国』 ・ 『蒲公英草紙』 に続く<常野(とこの)物語>シリーズ第3弾が本書で、短篇10話が納められた『光の帝国』のなかの『オセロ・ゲーム』の続編にあたります。

<拝島時子>は、ゼミ旅行から帰ってくるなり、母<暎子>が突然睡眠状態に陥ったと母の部下の<河合詩織>から連絡を受け、病院に出向きますが、『あれ』によって『裏返された』と考えます。

<時子>は<常野一族>として、一族間の結婚はできないという不文律を破った父と母を持ち、父は10数年前に『あれ』に『裏返された』のか、行方が分かりません。
母を看取る間、<時子>は『裏返された』人を呼び戻す『洗濯屋』と呼ばれる<常野一族>の<火浦>という男と出会い、母を再度こちら側に連れ戻すべく行動を起こしていきます。

子供の頃の原体験を背景に、二転三転する筋書きの構成で最後まで読者を惑わし、迷路のごとく複雑な展開が広がり、最後は思わぬ結末に導かれるという「恩田ワールド」にはめられた心地良さで、読み終えることができました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『ピザマンの事件簿』L.T.フォークス(ヴィレッジブックス)

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『ピザマンの事件簿』L.T.フ...
主人公<テリー・サルツ>は26歳、腕のいい大工でしたが、酒と薬の影響でバーで暴れ刑務所生活を送る羽目になり、仕事も失くし妻<メリールー>とも離婚(中)という状態です。

出所した<テリー>を快く迎えてくれたのは、屋根職人の<ダニー>で、彼の住むオハイオに転がり込み、町で見かけたピザハウス『カーロ』に配達係として酒も薬もやめて仕事に励み、新しい仲間や大工仕事が舞い込み順調な再スタートを切りだします。

ある日配達係の<ウイットネス>が、店の裏側でナイフで殺される事件が起こり、<テリー>は過去の行状から一時は地元の警察官<アラン>に疑われますが、反対に<テリー>は、<ダニー>や『カーロ』のベテラン配達係<ダンプ>やマネージャーの<グラフ>を巻き込み、自ら犯人を捜しだそうと乗り出します。

誰もが顔見知りに近い小さな町での事件を通して、<テリー>が自己再生してゆく物語でもあり、男同志の友情や夫婦間の愛情が絡み合うミステリーに仕上がっています。
銀行勤めの別居中の妻<メルーリー>も、なぜか<テリー>の住む町に転勤、シリーズとして3冊が既刊されているようで今後の展開が楽しみです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『修善寺温泉殺人情景』風見修三(講談社文庫)

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『修善寺温泉殺人情景』風見修三...
副題に<駅弁味めぐり事件ファイル>とありますが、シリーズとして 『奥入瀬渓谷殺人情景』 に次ぐ2冊目に当たります。

主人公は前作と同様、地域の活性化のイベント企画を請け負うプランナー<矢島耕平>で、今回は修善寺温泉として一年を通じて観光客を誘致したいという仕事で出向きます。

出向く電車の中で、5人の人気漫画家集団<CHERRY☆RIZE>と遭遇、サインをねだったところから縁ができるのですが、メインの漫画家「天海理彩>はおらず、姉の<恵美>だけが慰安旅行に来ていました。

「かんぽの宿」に宿泊した翌日、なぜか東京にいるはずの<理彩>が梅林で殺されているのが発見され、前作同様に<矢島>は探偵役として事件の究明に走ります。

旅情ミステリーとして、今回も修善寺まわりの情景やグルメ情報を背景に、姉妹の生い立ちを主軸に物語が展開しています。
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『八朔の雪』<みをつくし料理帖>髙田郁(ハルキ文庫)

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『八朔の雪』<みをつくし料理帖...
主人公は18歳の<澪>で大坂生まれですが、10年前の享和2(1802)年7月1日に起こった淀川の氾濫で両親を亡くし、料理屋「天満一兆庵」の女将<芳>に拾われ奉公していました。

味覚の良さを主人<嘉兵衛>に認められ、料理人として修業を始めた矢先火事に合い、江戸に支店を出している息子の<佐兵衛>の店に出向きますと、店はなく<佐兵衛>は行方知らずになっていました。

<佐兵衛>の行方を捜すと共に、<芳>とともに「天満一兆庵」再興という願い持ちながら<澪>は、主人<種市>の蕎麦屋「つる家」で蕎麦代わりの料理に精を出すのですが、上方と江戸との味覚の違いに戸惑う日々が続きます。

試行錯誤のに末満足すべき出汁を完成させた<澪>は、「とろとろ茶碗蒸し」が大人気となり『料理番付』に初登場で関脇となるのですが、大関の「登龍桜」が「つる家」の近くに新しい店を出し同じ茶碗蒸し料理で対抗、付け火で「つる家」は燃やされてしまいます。

「つる家」が亡くなり、一時は料理の世界から足を洗おうと考える<澪>でしたが、料理だけが自分を生かせる道だと決心した<澪>は、屋台からの再出発を果たすのでした。
長屋の隣の住人<おりょう>や医師の<永田源斉>、そして<小松原>と名乗る正体不明の浪人としての脇役も良く、今後の展開が楽しみなシリーズになりそうです。
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『遊戯』藤原伊織(講談社文庫)

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『遊戯』藤原伊織(講談社文庫)
本書には文庫本のタイトルとなっている連作短篇である『遊戯』と、『オルゴール』が収められています。
著者は食道癌のためにすでに2007年5月17日に59歳で亡くなられていますが、それぞれの短篇は『小説現代』の2005年1月号から2006年3月号に掲載されました。

『遊戯』は、ネットの対戦ゲームで知り合った派遣会社勤務の<本間透>31歳と、<朝川みのり>20歳を中心に据えて物語は進みます。
初対面で<本間>は、<みのり>に対して外交官の父が自分が子供の頃に虐待をしていて、遺品の中にあった拳銃を保持していることを打ち明けてしまいます。
<みのり>はアルバイトで登録していたモデル事務所のテレビCMがヒットして人気が出ますが、ある日撮影のときに自転車にのった不審な男の視線を感じてしまいます。
その自転車の男は、<本間>が歩道を歩いているときにぶつかりそうになり押し倒した男であり、ストーカーとして気になる存在ですが、作品は未完で終わり、どのような結末が待ち受けていたのかは知る由もありません。

『オルゴール』は、会社倒産寸前の社長<日比野修司>41歳が、33歳で事故死した妻<祥子>の遺品を整理していた時に見つけたオルゴールの裏側に、富豪であり前夫の<夏目重孝>51歳の「祥子へ、重孝より」の献辞を見つけ、金策の下心を持ちながらオルゴールを形見分けという形で<夏目>の自宅を訪れるところから物語は始まります。

どの短篇も研ぎ澄まされた緊張感のある登場人物たちの会話が気持ちよく、登場人物を深く切り込んでいく著者の文体が完結されています。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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