今年の読書(20)『英雄の悲鳴』堂場瞬一(文春文庫)
4月
29日
『ラストライン』で始まる「ラストライン」シリーズも『灰色の階段』に続いて本書『英雄の悲鳴』で7作目になり、文庫本書下ろしとして、2025年3月10日に発売されています。
本書では、前作でも匂わされていましたが、本庁捜査一課長の強い引きで、所轄の立川中央署から捜査一課に復帰した「岩倉剛」です。愛弟子とも言うべき「伊藤彩香」とのコンビも復活しています。
そんな「岩倉」でしたが、町田市の公園で若い男性の刺殺体が発見されます。めぼしい遺留品はなく目撃者もなし。防犯カメラにも怪しい人物は見当たりませんでしたた。
「岩倉」たちの懸命の捜査で遺体の身元は、「津田友毅」だと明らかになりましたが、フリーターで殺人事件との関連がでてきません。やがて「津田」にはストーカー疑惑が持ち上がります。
一方、何らかの事故に遭い病院に連れていかれた女性が、病院を抜け出すというできごとが起こります。「岩倉」は、相方の「伊藤」と共に行方不明の女性を追うことになります。著者の他のシリーズ「失踪課」も登場、堂場ファンにはたまらない構成で物語は進んでいきます。
読みなれた読者は、死体の人物がストーカーで、病院を抜け出したっ女性が被害者だと読みつなげると思いますが、着地点までは読み解けません。タイトルの〈英雄〉の意味合いが最後に重くのしかかってきます。
「岩蔵」に同行していた新米刑事「前田優吾」の今後の動向も気になりながら、面白く読み終えました。