注目を集めたのは「ディープシーク」の生成AIモデル「R1」です。数学的な指標で、米オープンAIの「チャットGPT」の基盤モデル「o(オー)1」に匹敵する回答精度を示しました。米アップルのアプリストアでは、「R1」を組み込んだチャットサービスが無料アプリで首位に立っています。
際立ったのは、コストパフォーマンスの高さです。AIモデル一つにかかる学習コストは600万ドル(約9億円)以下といい、事実であれば1億ドル(約154億円)以上ともされる米企業のモデルに比べはるかに安いコストです。米国の対中輸出規制下で、最新のAI半導体を用いずに高性能と低コストを両立させています。
「R1」は、自由に改変できる「オープンソース」のモデルのため、開発者の利用が増える可能性があります。
「R1」は、情報量と計算能力の増加に伴いAIの性能が向上するという従来の見方を覆しています。これにより、AI半導体で世界トップシェアのエヌビディア株は27日(17%下落)、時価総額が5890億ドル(約91兆円)減と、米企業1銘柄の1日当たりの減少額としては過去最大を記録しています。グーグル親会社のアルファベットやマイクロソフトも売られています。
20日に就任した<トランプ大統領>は、経済安全保障の観点からAI開発を促進する方針です。「R1」の登場で、米中のAI開発競争は激化の兆しを見せています。