今年の読書(1)『熔果』黒川博行(新潮文庫)
1月
7日
「武本・潮崎」や「新垣・上坂」などバディーモノのエンターティメント小説シリーズが楽しめる<黒川博行>ですが、本作は「堀内・伊達」シリーズの4作目として、2021年11月に単行本(2090円)が刊行され、2024年12月1日に文庫本(1100円)が発売されています。
主人公となる「堀内・伊達」のふたりは、元大阪府警の刑事でしたが、品行不漁の悪徳刑事で、府警を辞めたあと、競売専門の不動産会社「平山総業」の調査員となった「伊達誠一」と、それを手伝う「堀内信也」とが織りなす裏家業のクライムサスペンスです。
五億円相当の金塊強奪事件が博多駅付近で発生します。「堀内信也」は、狂言強盗だと見抜き金の匂いを嗅ぎ取った競売屋・ヒラヤマ総業調査員の「伊達誠一」に誘われ、金塊の行方を追うことになります。二人は大阪府警の元刑事で現在も仲の良い仕事仲間としてバディを組んでいます。主犯と見極めた男を、大阪、由布院、博多、名古屋、岐阜を、購入したばかりのBMW「A4」で駆け抜けながら、「堀内」と「伊達」は、ヤクザ、半グレ、愛人、ブローカー、汚職警官らと対決しながら、金塊を追い求めます。筋読みと暴力の〈調査〉から無事に金塊に辿りつけるでしょうか。
小気味よいテンポで読み進める625ページで、イリーガルな裏社会に浸りながら、面白く読み終えた一冊です。