『白鳥とコウモリ(上)』では、時効が成立した殺人事件の真犯人であり、今回の白石弁護士殺人事件の犯人であると自首してきた「倉木達郎」を巡る事件の概要が描かれ、自供内容が父らしくないと疑問を感じた息子の「和真」と、「倉木達郎」の供述による殺人の動機が、殺された弁護士の言動には納得できない娘の「美令」が、殺人現場でかをを合わせるところでおわっています。
(下巻)では、加害者の息子と被害者の娘ということで事件の蚊帳の外の二人はお互いの〈父の真実〉を調べるため、捜査一課の<五代努>の知恵を借りながら、素人探偵として事件の真相を追い求め、禁断の逢瀬を重ねていきます。
過去と現在、東京と愛知、健介と達郎を繋ぐ事件の真相は何かとの描写が続き、やがて「美令」と「和真」は、驚くべき真相にたどり着きます。
読み終わると、タイトルの白と黒の反転が意味するところにたどり着く、ち密な構成でしたが、それだけにやや読者を引っ張りすぎかなとも思える(上下)690ページでした。