今年の読書(18)『ハコウマに乗って』西川美和(文藝春秋)
4月
15日
『ゆれる』(2006年)・『ディア・ドクター』(2009年)・『永い言い訳』(2016年)・『すばらしき世界』(2021年)などの映画監督<西川美和>(49)のエッセイ集『ハコウマに乗って』が、4月5日に文藝春秋より刊行されています。
映画の原作として執筆した『永い言い訳』で第28回山本周五郎賞候補・第153回直木賞の候補となり、映画にまつわるエッセイも多数執筆している<西川美和>です。
本書には2018年から2023年末までスポーツ誌の『Number』と月刊誌『文藝春秋』に連載されたエッセイが収録されています。
スポーツや時事問題など映画から離れたテーマも多く、自身のランニング体験や青春時代の思い出、コロナ禍でのオリンピック、ウクライナでの戦争、ハラスメント問題など話題は多岐にわたり、これまでのエッセイとは異なる趣になっています。
タイトルの「ハコウマ(箱馬)」とは撮影現場にあり、踏み台や物置き、休憩用の椅子、キスシーンの身長差を埋める台などさまざまな用途で使われる木箱のことです。著者はスポーツや時事問題の専門家でない自分が連載を持つことを「(身分不相応の)少し高いところに立っている」と考え、「ハコウマ」を引き合いに出しています。