『ミッドナイト・ファミリー』@<ルーク・ローレンツェン>監督
11月
9日
メキシコシティで営利目的の救急隊を営み、同業者と競い合いながら日銭を稼ごうとする<オチョア>家族の姿を切り取った本作。倫理的に疑問視される彼らの稼業を医療事情、行政機能の停滞、自己責任の複雑さという視点から映し出します。メキシコシティの人口は900万人ですが、公共の救急車は45台にも満たない現状で、その数に釣り合った公共救急車が整備されておらず、救急救命にあたる闇救急車の需要が行われています。
そんな中、闇営業を取り締まる名目で汚職警官に賄賂を要求されるようになり、<オチョア>家族は金銭的に追い詰められていきます。
監督を務めた<ルーク・ローレンツェン>は 6カ月にわたり、<オチョア>家族の救急車に乗り込んで撮影を行ないました。「彼らと一緒にいることは楽しかったし、彼らがいい人たちであることもわかった。その一方で、救急車に乗って行動をともにするたびに、この仕事に付きまとう闇の部分も知るようになった」「私の善悪の感覚はこんがらがってしまい、『ここで何をすればいいのか? 他にいい方法はないのか?』と自分に問い続けた。答えなんかまったく浮かばなかった」とコメントしています。