『スペシャルズ! ~政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話~』<エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ>監督
7月
25日
本作の主人公も『最強のふたり』と同じく、実在するふたりの男たちがモデル。1994年に自閉症の子供たちやドロップアウトした若者の社会参加を支援する団体と出会った<ナカシュ>と<トレダノ>は、携わる人々から湧き出る活力やにじみ出る人間らしさに深く感動した。当時まだ駆け出し監督だった二人は必ず彼らを映画化すると心に誓い、約25年の時を経てようやく実現に漕ぎつけました。
主演には 『ジェイソン・ボーン』 (2016年・監督: ポール・グリーングラス)や『ブラック・スワン』(2010年・監督: ダーレン・アロノフスキー)などハリウッド映画でも活躍するフランス映画界きっての演技派俳優<ヴァンサン・カッセル>(53)。ギャングや犯罪者など強面の印象の強い<カッセル>ですが、本作では政府や社会から理解を得るため見返りを求めず奮闘するケア施設の代表を見事に演じきっています。共演には<ジャック・オーディアール>や<ヴィム・ヴェンダース>の作品で活躍する<レダ・カテブ>。そして当事者の日常や問題に寄り添うような演出を目指した監督は、本物の介護者と自閉症の若者、その家族らを多数キャスティングしています。
予告編では、課題を抱えながらも和気あいあいとしたケア施設での様子ややり取りが、ユーモアと爽快感あふれるタッチで描かれています。ところが四角四面な厚生省の無理解により閉鎖が示唆されるや、問題が一気に噴出します。施設はこのまま閉鎖に追い込まれてしまうのか?子供たちの未来はどうなるのか?25年間施設や当事者たちと歩みを共にしてきた監督が、彼らの見せる笑顔、涙、怒りを同じ目線で丹念に捉えた映像に、心が強く揺さぶられます。