<バンクシー>の新作『ベツレヘムの傷跡』@ウォールド・オフ・ホテル
12月
23日
『ベツレヘムの傷跡』と名付けられた今回の作品は、迫撃砲による穴を表現したコンクリートのブロック壁を背に、イエス・キリストの生誕シーンを描いています。生まれたばかりのイエス・キリストと、聖母マリア、ヨセフが、壁の穴を通じて背後から照らされる。穴から4方に向かって壁の表面が削られており、クリスマスの星のように見えます。
作品が展示されたのは、ベツレヘムにあるバンクシーのホテル、「ウォールド・オフ・ホテル」(2017年3月開業)。イスラエルとパレスチナ自治区ヨルダン川西岸を分断するためにイスラエルが建設したコンクリート壁を、全ての部屋から見渡すことができます。
ホテル支配人の<ウィサム・サルサー>氏は、ベツレヘムでパレスチナ人らがどのように生活をしているのかを「もっと考えてもらうため、ベツレヘムの話、クリスマスの話を異なる形で持ちだすのは素晴らしい方法だ」と称賛しています。重ねて<サルサー>氏は、イスラエルによって建てられた壁は「傷跡」だと述べ、壁建設を「支持した全ての人は恥じるべきだ」と語っています。
イスラエルは2002年、パレスチナ人によるインティファーダ(反イスラエル闘争)を受けて壁の建設に着手。一部はコンクリート製の壁、他の箇所はフェンスで、大部分がヨルダン川西岸内に建てられています。イスラエルは、この壁について攻撃を防ぐために必要だとしていますが、パレスチナ人はエルサレムからパレスチナ人を隔てるためのアパルトヘイト(人種隔離)の壁と呼んでいます。