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- 地下水の過剰採取が「重大な影響」@国際共同研究チーム
米カンザス州の穀物畑を潤すピボット式スプリンクラーの灌漑システム。それぞれがオガララ帯水層から、
1分間に何百リットルもの水をくみ上げている(画像: RANDY OLSON, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
地下水の過剰採取が、2050年までに世界の流域の50%にあたる河川、湖、湿地帯に「重大な影響」を及ぼすと警告する研究論文が2日、英科学誌『ネイチャー』で発表されています。
食糧生産に欠かせない地下水は地中の土や砂、岩の隙間に存在し、地球上で最も大規模に利用できる淡水源となっています。現在、20億人以上が、飲料水やかんがい用水を地下水に依存していますが、地下水の資源量は、世界的な人口爆発とそれに伴う穀物生産量の増加を受け、すでに圧迫されています。
国際共同研究チームは、既存の地下水が世界各地の河川、湖、湿地に流れ込む速度を調査し、流出と呼ばれるこのプロセスに農業用水のくみ上げがどのような影響を及ぼしているか調べました。この結果、世界の流域の約20%で、既に地下水採取量が流出量を上回っていることが判明、気候変動モデルを用いて今後どのくらい流出量が減少するかを予測したところ、2050年までに世界の地下水採取地域の42~79%で水界生態系を維持できなくなることも判明しています。
論文主筆者である独フライブルク大学の<インゲ・デグラーフ>氏(環境水文システム)によりますと、これは破滅的な影響をもたらす可能性があるといいます。
<デグラーフ>氏は「流れに水がなければ魚や植物が死ぬのは明らかだ」と話し、かんがい栽培されている作物の約半数が地下水に依存しており、大きな損失となると指摘しています。
論文によりますと、メキシコやガンジス川、インダス川の流域など作物生産を地下水に大きく依存している地域は、過剰採取により既に河川流量の減少が発生しています。
地下水需要の増加に伴いアフリカや南欧も、今後数十年以内に水界生態学的限界に達すると研究チームは予測しています。
英国の研究者らは今年、地下水の補充には長い年月を要するため、未来の世代は「環境の時限爆弾」に直面するとの研究結果を発表していました。
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