『天使の眠り』岸田るり子(徳間文庫)
7月
15日
帰宅のタクシーに乗ろうとするところを呼び止めますと、たしかに「しゅうちゃん・・」と彼女しか知らない呼び方をされ、昔の感情が甦り、彼女の身の回りを調べるうちにその後結婚した2人の夫たちは、どxひらも殺人事件で死亡、多額な資産が彼女に残されていました。
記憶とはあいまいなもので、自分の取って都合のいい部分だけを残す場合が多々あり、本書でも<秋沢>の記憶は13年の空白が生み出したものか、読者を惑わせてしまいます。
当時2歳だった一人目の夫の娘<江真>も15歳になり、大事な語り部として登場していますが、母と子の壮絶な愛情物語が展開、最後は一抹の明るさが垣間見れるサスペンス・ミステリーでした。