《雅羅・/・襍懐古〝山花ⅩXVI〟❖ ’24-239 ❖》

イワオウギ(岩黄耆)マメ科(F... イワオウギ(岩黄耆)マメ科(Fabaceae /Leguminosae)
学名:Hedysarum vicioides ssp. japonicum var. japonicum 
別名:タテヤマオウギ(立山黄耆)
イワオウギ(岩黄耆); 多年草... イワオウギ(岩黄耆); 多年草。マメ科 イワオウギ属
北海道~本州(中部地方以北)の高山礫地・草原に自生する。
草丈20~80cm。葉は奇数羽状複葉で11~25個の小葉からなる。
小葉は狭卵形~狭楕円形、長さ1~3cm、幅0.4~1cm。
先は円形で、裏面に白い軟毛がある。
托葉は狭披針形、膜質で帯褐色。
葉に対生する側でほとんど先端まで合着し、長さ1.2~2cm。
花は長さ8~23cmの総状花序となり、蝶形の花を10~30個つける。
花は黄白色、長さ1.2~2cm、竜骨弁は旗弁。翼弁より2mm以上長い。
萼は5中裂し、長さ4~6mm、側裂片は三角形で長さは約1mm、
背軸側裂片は長さ2~3mm、萼筒と同長かやや長い。花期、7~8月
尾根のいたるところで自然景観が... 尾根のいたるところで自然景観がみられたが・・・。



《 北岳の花〝岩黄耆〟8月山花ⅩXVI  ❖ 1967/夏 ❖ 》
イワオウギ(マメ科)[岩黄耆];
花名は漢方の黄耆に似て岩場に生えることから名付いたもの。
中部地方以北の高山に登ると、まずこの花を観ないことはない。
花と実が同時に見られれることもあるという(私的未見)。
岩黄耆は亜高山帯だけでなく、北岳稜線でも生育している。
そして同じ稜線に生育しているタイツリオウギと区別出来なかった昔。
古くは、稜線で点在していたイワ... 古くは、稜線で点在していたイワオウギだが、今は???


昨今、PCでweb検索すれば鮮明に識別できる。何か玉手箱ようで絶句だ。
そんな花達を観たい願望が強く沸き起こるきょうこの頃である。
ところが、調べているうちに悲惨な事実を知った!?!
しばらく前まで北岳の亜高山帯にあった群生地が消滅した、との記述。
消滅原因は、シカによる食害!!
南アルプスでもシカの食害が甚大である由。
「数十年前と比べ花が十分の一になってしまった」と聞くと、絶句。
“岳人2016年8月号 ”の記事を観てのことだった。
低山帯上部~高山帯の崩壊地の岩場等で目を楽しませてくれた花々。
自然界での異変は致し方ないことかもしれない。
生物共同体的均衡。如何にすべきかは、人間の責務だろう。
春に紫陽花鑑賞に東伊豆方面に行った。
帰り道の途、箱根の観光的場のすぐ近くの住宅地で鹿と出会った。
こんな所で昼間、ごく普通に歩いているのか、と唖然!!
鹿の食害、伊豆の山間でも深刻だ、と知った。

咲くも無心、散るも無心、花は嘆かず、今を生きる。
不生不滅・・・。


「令和陸年(皇紀2684年)8月26日、記」

 


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《雅羅・/・襍懐古〝山花ⅩXV〟❖ ’24-238 ❖》

トウヤクリンドウ(当薬竜胆) ... トウヤクリンドウ(当薬竜胆) リンドウ科(Gentianaceae)
学名:Gentiana algida Pall. 
トウヤクリンドウ(当薬竜胆);... トウヤクリンドウ(当薬竜胆); 多年草。
本州の中部以北の高山砂礫地や乾いた草地に自生。開花は、8~9月。 
草丈10~30cm位。根茎は短く茎は1又は2本、直立し分枝せずほぼ無毛。
花をつける茎は根出葉がなく、上部に数対のロゼット状茎葉がある。
茎葉の葉身は、茎を抱き披針形で長さ2~5cm。葉柄は長さ5~10㎜。
花をつけない茎は新しい短枝の先に根出葉を束生し、葉身は線状披針形。
花は茎頂か上部葉腋につく。花冠は筒状、長さ3.5~4cm、黄白色で青緑色斑紋がある。
花冠の先は5裂、裂片は斜上し、ほとんど平開せず、裂片の間にある副片は低い。
萼は、鐘形。長さ1.5~2cmで5裂し、萼片は三角状披針形で筒部と同長かやや長い。 
雄蕊は花冠筒部の中間につく。花糸は長さ1.3~1.6㎜。
葯は狭楕円形、長さ2.5~3.2㎜。花柱は長さ4~6㎜。柱頭は裂片が線形。


北海道に自生してるものは、草丈... 北海道に自生してるものは、草丈が低く花が5cm以上ある由。
クモイリンドウ(雲居竜胆)と呼ばれている。
大雪山のみで見られるもので別名はエゾトウヤクリンドウとも言われる。
本州で見られるトウヤクリンドウの亜種とも考えられている。
北岳に見えるトウヤクリンドウは、8月下旬に開花するようだ。
リンドウ類は天気が悪いと花冠が開かない傾向がある。
が、このトウヤクリンドウの花は、良い天気でも余り開かず半開状態。
《 北岳の花〝当薬竜胆〟8月山... 《 北岳の花〝当薬竜胆〟8月山花ⅩXV  ❖ 1967/夏 ❖ 》
北岳周辺は、高山植物の宝庫である。
そこは、他の有名な高山植物観察地と異なり真の岳人の世界だった。
山歴も重ねて夏の剣岳に登攀し、下山。
日にち余裕があって剣沢キャンプ場で一泊。
別山まで行ってみた事があった。
その別山でトウヤクリンドウを観ていた人たち、
スカートをはいた観光客の団体客だった。
随分と昔の事だ。
又、八ヶ岳の硫黄岳では、この花を観ると秋を実感できた。
思いである花の一つだ。

「令和陸年(皇紀2684年)8月25日、記」


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《雅羅・/・襍懐古〝山花ⅩXIV〟❖ ’24-237 ❖》

タカネヨモギ(高嶺蓬)キク科(... タカネヨモギ(高嶺蓬)キク科(Asteraceae)
学名:Artemisia sinanensis Y.Yabe 

タカネヨモギ(高嶺蓬); 在来種(日本固有種)、多年草。
本州の中部地方、東北地方に自生し、高山帯の日当たりが良い裸地に生育する。
地下茎は太く横に這う。ロゼットをつける短茎と花をつける長い花茎がある。
花茎は、斜上し茎高は20 - 50cm以上になり,若い時は白い絹毛がある。
ロゼットや花茎の下部につく葉の葉柄は長さ3.5-7cm、葉身は長さ8cm位。
葉は緑色でやわらかく,根生や下部の葉には長い柄があり3回羽状に深裂。
終裂片は、線形で幅1mm位になり、裂片の先端は尖る。
若い頃の毛は、花の頃には脱落。もんでみると芳香が立ちあがる。
頭花は黄色で直径約1 cm以上で、茎に総状に下向きにつく。
舌状花がなく,花冠の筒部に毛がある。総苞は約6 mm位の半球形で無毛。

《 高嶺の花〝高嶺蓬〟8月山花... 《 高嶺の花〝高嶺蓬〟8月山花ⅩXIV  ❖ 1967/夏 ❖ 》
本州の高山系のヨモギの中で葉が細かく裂け線形になる種は、2種類か??
タカネヨモギとキタダケヨモギしか知らない(浅学なので)。
日記には、キタダケヨモギは記録していない。
バイトの合間に先輩にバットレス登攀に連れて行ってもらった。
登攀後の北岳頂上付近のお花畑は色々な種類がみられ箱庭のように綺麗だった。
キク科の特徴である頭花(頭状花)の中に小さな花(小花)が集まっている。
なんとも可愛い花たちであった。その日たまたま行きあった山女集団に驚いた。
全員が地下足袋!! 後で知ったのだが山岳界では有名な(特異な)大学山岳部。
リーダーの方は、メチャクチャ高山植物に詳しかった。
合宿後の個人的山行だったようだ。二回生の二人は楽しい山女達。
花達の前でザ・ピーナッツの“恋のバカンス”を歌わせられていた^^)。
地下足袋にニッカボッカー姿での歌唱・・・未だに印象に残っている。
高嶺の花的、関西では有名な大学だそうだ。

「令和陸年(皇紀2684年)8月24日、記」


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《雅羅・/・襍懐古〝山花ⅩXIII〟❖ ’24-236 ❖》

タカネコウリンカ(高嶺高輪花)... タカネコウリンカ(高嶺高輪花)キク科(Asteraceae/Compositae)
学名:Tephroseris takedana (Kitam.) Holub
タカネコウリンカ;  日本固有種。準絶滅危惧(NT)種。
キク科オカオグルマ属に分類され... キク科オカオグルマ属に分類される多年草。
本州の中部地方
(奥志賀、湯ノ丸山、飛騨山脈、八ヶ岳、赤石山脈)
そして埼玉県(秩父市)に自生地がある。
亜高山帯上部から高山帯にかけての乾いた草地や礫地に生育する。
亜高山帯の石灰岩地にも生育すると資料にある。
ヤガ科のミヤマセダカモクメの幼虫が食草とするらしい。
茎は単一で直立し、高さ15-40 cmで、全体にクモ毛がある。
根性葉と下部の茎葉は細毛が密生し、長さ5-12cm、幅1.5-3cm。
卵状へら形で、基部は茎を抱き、縁には浅い鋸歯がある。
根性葉には長柄がある。頭花は直径2-2.5cmで数個が散房状につく。
総苞は長さ0.7-1cmの筒型で黒紫色になり、総苞の基部に苞葉がある。
総苞の色が黒っぽい点が高原に生育するコウリンカに似ているが、
コウリンカの舌状花は長く反り返る。
舌状花は、橙黄色で7-8個で、短く完全には開かない。
筒状花は橙赤色、長さ4mm、幅2 mm。花期は7月下旬-8月。

《北岳の花〝個性的な高嶺高輪花... 《北岳の花〝個性的な高嶺高輪花〟8月山花ⅩXIII  ❖ 1967/夏 ❖ 》
学名の種小名(takedana)は、植物学者の武田久吉への献名。
武田さんは、日本山岳会を牽引していた岳人でもあった。

我が若き頃、南アルプスは奥深い山々という感じで取っ付き難い山だった。
学生の身、夏休み而して山岳地でのバイトで高山植物と出会えた。
今年は、多忙で高山植物を観に出掛けていない。
恩ある御仁を高山植物を観にお連れしたく思っているが北岳は無理か。
八ヶ岳のオーレン小屋から硫黄岳なら・・・?
来年は、と思うが・・・。

「令和陸年(皇紀2684年)8月23日、記」
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《雅羅・/・襍懐古〝山花ⅩXII〟❖ ’24-235 ❖》

シロウマチドリ(白馬千鳥) ラ... シロウマチドリ(白馬千鳥) ラン科(Orchidaceae)
学名:Platanthera convallariifolia (Fisch. ex Lindl.) Lindl.
別名:ユウバリチドリ
シロウマチドリ(白馬千鳥); ... シロウマチドリ(白馬千鳥); 環境省絶滅危惧Ⅱ類(VU)
高山帯で森林限界を超えた日当たりの良い場所や湿った草原、
亜高山帯の渓流沿いの林縁・草原で自生がみられる。
草丈25-50cm程の多年草。花も含め全身緑色のラン科高山植物。
最近では鹿の食害により激減している。
根は紡錘状に肥厚し、茎はやや太く稜がある。
太い茎に葉が互生、上部には無数の黄緑色の花と包葉が密集してつく。
花と包葉が絡み合うような姿は、独特で趣があり、特徴的である。
葉は、5~8枚つき斜上し、苞が長く花序下部では花より長い。
花は茎頂に穂状に10~30個の花を付る。
黄緑色の花が、唇弁が垂れ、穂状に10~30個の花を付る。
苞は下方の花では花よりずっと長い。
唇弁は長楕円状卵形、側花弁は横に広がり、距は短く下向きに曲がる。
背萼片は広卵形で鈍頭、長さ4~5mm、側萼片は斜卵形、平開し長さ6~7mm。
側花弁は狭卵形、背萼片と同長。唇弁は長楕円状卵形、先は垂れ鈍頭。
花の距が下向なので、幅広の唇弁の奥に隠れてあまり目立たない。
唇弁の先端は尖らず、細長い舌を連想させる。
側萼片は横に全開し、側花弁は前方へ伸び互いの先端がくっついている。
見れば観るほどに不可思議な花構造である。

《雅羅・/・襍懐古〝山花ⅩXI...
上2画像は、花構造解説。 《 ...
上2画像は、花構造解説。


《 後立山連峰白馬岳周辺の花〝白馬千鳥〟8月山花ⅩXII  ❖ 1967/夏 ❖ 》
白馬岳・鑓温泉近くに白馬千鳥の自生地がある(現在は分らない)。
その自生地に行くには4時間位は登らなくては到達出来なかった。
また、雪渓の状況によっては花期も変わる。
それ故、観に行く登山客も少なく秘境的で幾度か写真を撮りに行った。
最近は、各地の山で鹿の食害で植物が減っている。少し心配だ。

「令和陸年(皇紀2684年)8月22日、記」


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《雅羅・/・襍懐古〝山花ⅩXI〟❖ ’24-234 ❖》

シロウマアサツキ(白馬浅葱)ヒ... シロウマアサツキ(白馬浅葱)ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)
学名:Allium schoenoprasum var. orientale

日本原産で、ヒガンバナ科ネギ属エゾネギ種の高山性多年草です。
白馬連峰だけにあるわけではない... 白馬連峰だけにあるわけではないですが、中部山岳以北の高山の砂礫地で出会えます。
砂礫地といっても、 やはり目に... 砂礫地といっても、
やはり目につくのは白馬連峰の蛇紋岩が露出した砂礫地で出会うことが多い気がします。
蛇紋岩質を嫌う植物も多いなか、シロウマアサツキは適応力が高いのかもしれません。
高山植物はそれぞれ得意な地形や... 高山植物はそれぞれ得意な地形や地質があるので、
花単体だけでなくそのロケーションを観察してみると面白そうですね。
見た目にもネギっぽいですが、茎... 見た目にもネギっぽいですが、茎を少しだけ擦ってみるとネギ属特有の匂いがします。
登山道を踏み出さない範囲で出会えたら観察してみてください。
*     *     *
以上画像と説明文は、借り物です。
https://tomotrek.jp/(TomoTreck)



《 後立山連峰・白馬岳周辺の花〝白馬浅葱〟8月山花ⅩXI  ❖ 1964/夏 ❖ 》
シロウマアサツキ(白馬浅葱);多年草。
北海道,本州の中部地方以北に自生。
花茎は高さ30〜50cm、葉の幅4〜5mm、
花序は直径3.5〜4cm、花被片は長さ7〜8mm。
花糸は花被と等長。花期は6〜7月。(原色日本植物図鑑)
よく似たアサツキは雄蕊の長さが花被片の1/2〜2/3と短い。
今ひとつ、シロウマアサツキ(白馬浅葱)の自生地(分布)も不思議だ。
中部地方以北の分布とされるが、京都府北部、対馬、隠岐にも分布する。
高所と低所で自生している。よく云われる生態型の進化の現れか??
北アルプスの白馬岳には、大雪渓の上部に「葱平」と呼ばれる場所がある。
まさしく葱平(ねぶかだいら)と実感できる。シロウマアサツキ群落だ。
実際は、地名から連想するほどの群落ではない、多い程度。
でもシロウマアサツキは葱平を代表する植物の一つということは確か。
山で言う“平”は、草が茂った斜面を言う。アサツキ=葱。
アサツキが見られる場所、すなわち葱平(ねぶかだいら)である。
日本語表現の豊かさを思った花名。机上で思いを馳せた・・懐古。
 
「令和陸年(皇紀2684年)8月21日、記」
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《雅羅・/・襍懐古〝山花ⅩX〟❖ ’24-233 ❖》

ミヤマクワガタ(深山鍬形) オ... ミヤマクワガタ(深山鍬形) オオバコ科(Plantaginaceae)
学名:Pseudolysimachion schmidtianum subsp. senanense
北の山に自生するキクバクワガタ... 北の山に自生するキクバクワガタの亜種、中部山岳では良く見られる。
亜高山帯~高山帯の岩礫地に生え、高さ10-25cmになる多年草。
茎や花柄に軟毛が多い。葉は、根際に多く、集まって十数個が対生する。
長さ1.5-4cm、幅0.5-1.5cmの卵状長楕円形で縁に不揃いの尖った鋸歯がある。
基部はくさび形~やや心形で先はとがる。ほぼ無毛。葉柄は長さ1.5-5cm。
茎の先にまばらな総状に10-20個の花をつけ、横向きに咲く。
花柄は長さ0.5-1.2cmで開出した腺毛がまばらに生える。
花冠は直径0.7-1.2cmの皿形で深く4裂し赤紫色の筋が入る。
ときに上方の裂片は2中裂する。花の色は変化があり、淡青紫色~紅紫色。
雄蕊2個は長さ9mm位で雌蕊とともに花外に突き出る。
萼は4全裂し、裂片は倒披針形で先はとがり縁に腺毛が散生する。

《 後立山連峰・白馬岳周辺の花... 《 後立山連峰・白馬岳周辺の花〝深山鍬形〟8月山花ⅩX  ❖ 1964/夏 ❖ 》
この仲間は変異が極めて多く、地方によって各種の形がある。
ミチノククワガタは葉の両面に毛が密生する。
バンダイクワガタは葉縁に重鋸歯があり、萼裂片は狭披針形で先はとがる。
これによく似たものにダイセンクワガタがあり萼裂片はとがらない。
シラガミクワガタは葉の切れ込みが浅く鋸歯が鈍い。
ミヤマクワガタの母種キクバクワガタは全体に大きく葉が羽状に中~深裂する。
エゾミヤマクワガタは茎や葉の裏面が暗紫色を帯びる。
アポイクワガタは全体に小型で葉も小さい。まだまだあるが略。
「クワガタ」の名の由来。
花冠中央から長い1本の雌蕊と両脇から2本の雄蕊が突き出ている。
この花姿が兜の鍬形に似ていることから「クワガタ」と名付けられた。

「令和陸年(皇紀2684年)8月20日、記」


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《雅羅・/・襍懐古〝山花ⅩIX〟❖ ’24-232 ❖》

タイツリオウギ (鯛釣黄耆) ... タイツリオウギ (鯛釣黄耆) マメ科(Fabaceae /Leguminosae)
学名:Astragalus mongholicus
A.membranaceus var.obtusus, A.shinanensis

高山帯の草地などに生える多年草で、
茎高40~70cm。根は木質で太く長い。
葉は奇数羽状複葉、長さ3-8cm。
小葉は17~21枚、長さ0.6-2.2cm、幅0.3-1cm。
長卵形~狭長楕円形で両面に白い軟毛が密生する。
托葉は狭卵形で先が尖り5~10mm。
上部の葉腋から長さ4-10cmの花柄を伸ばし、
帯黄白色で長さ1.5-2cmの蝶形花を総状に5-10個つける。
旗弁は竜骨弁より長く、萼は大きく長さ1cm。
花柄とともに黒褐色の短毛が多い。萼歯は細く突起状にとがる。
花は葉腋から出た花柄の先に5~10花を密に付ける。
花は、黄白色で長さ2cm位。苞は披針形。
萼は、花柄と共に黒褐色の短毛が密生する。
北海道には、よく似たトカチオウギがある。
小葉が8-10対で萼はほぼ無毛、萼歯がごく低い。
又、北海道と岩手県の一部地域には、キバナオウギがある。
花が小さく、萼歯が低い。
シロウマオウギは5-8対で花の色が白に近い。

《 後立山連峰・白馬岳周辺の花... 《 後立山連峰・白馬岳周辺の花〝青の栂桜〟8月山花ⅩVIII  ❖ 1964/夏 ❖ 》
タイツリオウギ・リシリオウギ・シロウマオウギ等々、しっかりと特定定義されている。
我々が主に語っていた昭和四〇年代では、単にタイツリオウギと思っていた。
若い頃、見た花たちがどれになるかを特定する登山をしてみたい。
似ていて区別が付きにくいが、データを持っての登山。
一寸歳を取りすぎたか。

「令和陸年(皇紀2684年)8月19日、記」


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《雅羅・/・襍懐古〝山花ⅩVIII〟❖ ’24-231 ❖》

アオノツガザクラ(青の栂桜)ツ... アオノツガザクラ(青の栂桜)ツツジ科(Ericaceae)
学名:Phyllodoce aleutica (Spreng.) A. Heller.
synonym Menziesia aleutica Sprengel

高山帯の岩礫地や雪田の縁に多く... 高山帯の岩礫地や雪田の縁に多く生育している。
木高10-30cmになる常緑の小低木。
ツガザクラの仲間では一番多く見かける高山植物。
茎の基部は地をはい、よく分枝して斜上する。
葉は革質で、長さ0.5-1.5cm、幅1-1.5mmの広線形。
枝の上部に多数が密に互生する。
縁に微鋸歯があり、裏面に少し巻き込んでいて細く見える。
裏面の主脈に白色の細毛が密生する。
枝先に花序を出し、4-7個の花を下向きにつける。
花柄や萼、花冠とも黄緑色。花柄は長さ2-4cmで微毛と腺毛がある。
萼は背面基部に腺毛が密生して5裂する。
萼片は長さ4-5mmの披針形~広披針形。
花冠は長さ6-8mmの壺形、先端は急にすぼまり浅く5裂し裂片は反り返る。
雄蕊は無毛で10個、葯は黄色、長楕円形で先端に穴が開いて花粉を散らす。
子房は5室。花後に花柄が伸びて上向きに果実をつける。
和名は葉がツガに似て、花がやや緑色を帯びることに由来する。


《 後立山連峰・白馬岳周辺の花... 《 後立山連峰・白馬岳周辺の花〝青の栂桜〟8月山花ⅩVIII  ❖ 1964/夏 ❖ 》
葉がツガの様に細かい、花の色が黄緑に見えることから青!!
草のようですが木で、ツツジの仲間。黄緑色なのになぜ青?
青森、新潟、岐阜、福岡、沖縄などでは「あを」は黄色をも意味した。
おそらく古代においては白や赤でない色は幅広く「あを」と言っていた??
緑色に対しての青という表現は現在でもしばしば使われている事でも納得。
花時から斜め上~真上を向いて咲くものをソラムキアオノツガザクラ。、
“空向き(青の)栂桜”というのだが、YListには記載がない。
ツガザクラ属は交雑しやすく、多様な雑種が生育する。
複雑で多様な種を持つツガザクラ属、今後も色々と検証されていくのだろう。

「令和陸年(皇紀2684年)8月18日、記」
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《雅羅・/・襍懐古〝山の花ⅩVII〟❖ ’24-230 ❖》

ウルップソウ(得撫草)オオバコ... ウルップソウ(得撫草)オオバコ科(Plantaginaceae)
学名:Lagotis glauca Gaertn
別名:ハマレンゲ(浜蓮華)

花名は、千島列島のウルップ島で... 花名は、千島列島のウルップ島で最初に採集されたことで命名された。
属名のLagotisはウサギ+耳を表し、葉の形がウサギの耳に似ている事から。
従来、ゴマノハグサ科に含められていたが、APGⅢではオオバコ科になった。
礼文島、白馬岳・雪倉岳など白馬山塊、八ヶ岳に隔離分布、自生している。
高山帯の湿った砂礫地に生える多年草で高さ10-30cmになる。
花期が早いのだが、7月下旬でも見られる事がある。環境省準絶滅危惧(NT)。
太く短い根茎があり株をつくる。葉は互生し無毛。
根生葉は肉質で光沢があり、長さ5-10cm、幅5-13cmの卵円形~腎形。
先は円形~鈍頭で基部はやや心形、縁に波状の重鋸歯がある。
茎葉は2個、無柄で小さい。葉柄は長さ4-12cm。上部の茎葉は小さく、無柄。
花茎の先に大きな苞葉のある長さ5cmほどの穂状花序をつけ、
青紫色の花を密に下から咲き上げる。苞は広卵形~卵円形。
萼は筒形で膜質、腹面は基部まで裂け、背面は平らで長さ7-8mm、2稜がある。
花冠は長さ1-1.2cmの上下2唇形で、上唇は長さ3-3.5mmの長楕円形で2浅裂、
下唇は2-3深裂し、裂片は長さ3mmの披針形。
雄蕊は2個で、花冠上唇の基部の左右に1個ずつつき、上唇の半長ほどと短い。
葯は小さく、長さ1mm、幅1.5mm。子房は2室、柱頭は僅かに2裂する。
白花をつける品種をシロバナウルップソウという。
北海道の大雪山系に産するホソバウルップソウは、
葉が長楕円形でウルップソウに比べて幅が狭い。
葉先もとがり気味。雄蕊は上唇とほぼ同長。萼の先は円く、2裂しない。
夕張岳に特産するユウバリソウは、全体に小型で花の色が白色。

ウルップソウとハクサンイチゲの... ウルップソウとハクサンイチゲの饗宴!!


《 後立山連峰・白馬岳周辺の花〝得撫草〟8月山花ⅩVII  ❖ 1964/夏 ❖ 》
後立山連峰・白馬岳周辺は、高山植物も沢山あって人気があった。
半世紀も昔の事だが、高山植物だけを見に行く人も多く居た。
大雪渓まで運動靴(当時はそう呼んでいた)、スカートで登る人も。
八方尾根にしても然り。かなり上までリフトがあって観光客も沢山いた。
今も昔も同じ。登山ではなく、レジャー感覚。
警備に当たってる山岳警備隊のご苦労には、首部を垂れる。


「令和陸年(皇紀2684年)8月17日、記」
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