今年の読書(5)『告発者(上)』ジョン・グリシャム(新潮文庫)
2月
6日
本書『告発者』は、単行本としての刊行はなく、いきなり文庫本として2024年11月1日に(上・下)2冊の文庫本として発売されています。文庫本(上下)で1980円、おそらく単行本では、4000円近くになり、売れないと判断されたんだと思います。
物語は、判事の不正を調べる「司法審査会」が舞台です。フロリダ州司法審査会に、「マクドーヴァー」という女性判事が、コーストマフィアと組んで、無実の人間に死刑判決を下したという情報が寄せられます。不当判決はほかにもあり、見返りに多額の賄賂を毎月受け取っているといいます。この告発は真実なのか、独身の女性調査官の「レイシー」と5人の父親である「ヒューゴ」が捜査を進めていくと、先住民が経営するカジノとの関係が浮き彫りになってきます。
文中に「マクドーヴァー判事」が、現金を受け取る場面や、裏金旅行の詳細が語られていますので、読者は「マクドーヴァー判事」が黒だと分かった上で読み進むことになりますので、痛快に解決する結末に期待がかかりますが、上巻の終わりで、調査を中止させるために「レイシー」と「ヒューゴ」の車に自動車事故が起こり、「ヒューゴ」が亡くなってしまいます。読者は驚くと共に、下巻へ引き継ぎことになります。