「盾形銅鏡」と「蛇行剣」@奈良市:富雄丸山古墳
1月
26日
埋葬施設は、墳丘から北東方向にせり出した「造り出し」で見つかっています。木の幹を二つに割り、内部をくりぬいて被葬者を納めた「割竹形木棺」を粘土で覆った構造で、盾形銅鏡と蛇行剣は木棺の外に重ねるように置かれていました。いずれも邪悪なものを遠ざける「辟邪(へきじゃ)」の意味があるといいます。
「盾形銅鏡」は長さ64センチ、最大幅31センチで、土がついた状態での重さが約5・7キロです。古墳時代の倭鏡(国産の鏡)を代表するだ龍鏡の図像文様には渦状文や鋸歯文が中央に描かれたりするなど独自のデザインがあります。
太陽のような形の文様もあるなど類例を見ない形状と文様構成で、(橿考研)は盾と鏡を合体させた古墳時代人の柔軟な発想力や高度なデザイン力、青銅器製作技術を指摘しています。
一方、「蛇行剣」は長さ2・16センチ、幅6センチの刃部が蛇行する形状で、柄に収める部分の「茎(なかご)」を含めた全長は237センチ。これまでの出土で国内最大とされていました長剣(115センチ)の倍の長さで、4世紀後半の古墳からの出土は「蛇行剣」として最古例になります。(橿考研)は「破格の長大さであり、高度な鉄器製作技術が駆使されている」としています。