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今年の読書(14)『看守の流儀』城山真一(宝島社文庫)

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まだ3月ですが、初めて読む<城山真一>の『看守の流儀』は、おそらく今年の読書のベスト1.2だとおもえるほど、刑務所を舞台に描く5篇の短編連作として重厚な人間ドラマの構成は見事で、感涙する描写もある傑作でした。

<横山秀夫>の「いやぁ、これは久しぶりのドストライクだった。」の言葉が読み終えると「なるほど」とよく分かるのですが、細かいところはネタバレになりますので、ぜひ手に取って読んでほしい一冊です。

物語の舞台は、地方都市金沢にある加賀刑務所、そこは更生の最後の砦ですが、上級試験に合格している顔に傷のあるキャリアの刑務官「火石司」が着任し、刑務所内で起こるシャバ以上に濃厚な人間関係が渦巻く五つの事件を「火石マジック」といわれるさばきで解決、努めている刑務官たちの矜持と葛藤がぶつかり合う連作ミステリー仕立てになっています。

第一話『ヨンピン』
模範囚として服役期間の四分の一を残して仮出所した「源田」が、更正施設から姿を消してしまいます。副看守長の「宗片」は行方を調べ始めます。
第二話『Gとれ』
暴力団が売りさばいていたのは、加賀刑務所が印刷を請け負っている大学の入試問題でした。看守部長の「及川」は、入手経路と犯人の特定を命じられます。
第三話『レッドゾーン』
総務部で管理していた受刑者の健康診断記録とレントゲンフィルムが消失してしまいます。誤廃棄か盗難か、総務部を恨む処遇部のしわざなのか。
第四話『ガラ受け』
すい臓がんで倒れた受刑者「貝原」は余命3カ月の診断。刑務所内での療養を希望する彼を説得し、刑務官の「西門」は刑の執行停止を求め、身受け人が必要ということで「貝原」の離婚した妻と娘に会いに出向きます。
第五話『お礼参り』
再犯リスクの高さから、加賀刑務所は警察と共同で、満期出所した放火犯「牛切」に再犯の可能性があるということで監視をつけます。しかし「牛切」は監視に気が付き姿をくらませてしまいます。そこにはある策略が隠されていました。

文庫本の帯にあります「驚きの結末!」が書けないのが残念ですが、おすすめの一冊です。
#ブログ #文庫本 #読書

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