『ブレッドウィナー』<ノラ・トゥーミー>監督
8月
26日
『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』で知られるアニメーションスタジオの「カートゥーン・サルーン」が、<デボラ・エリス>がアフガン難民に聞き取り調査を行い、タリバン政権下で女性や子供が経験した事実をベースにフィクションとしてまとめ上げた児童文学『生きのびるために』をアニメ化しています。
物語の舞台は第1次タリバン政権の末期、2001年のアフガニスタンです。主人公は父親が娘に本を読ませた罪でタリバンに連行されてしまった11歳の少女「パヴァーナ」。女性だけでの外出が禁止されている中、「パヴァーナ」が家族を養うために髪を切り男装して働きに出るさまが描かれています。
イスラム主義勢力のタリバンは1996年から2001年にかけて政権を握っていた際、女性の教育や社会進出を認めていません。現在のタリバンは女性の権利に関して融和的な姿勢を示しているものの、その実態は全く不明のままです。アフガニスタンがこのたび8月中旬のタリバンによる政権掌握の事態を受け、この映画を通して、できるだけ多くの人にアフガンで何が起ころうとしているのかを知ってもらいたい。そして国際社会と国民1人ひとりが注視していくことが重要だということで、全国7館での再上映が決まっています。
<ノラ・トゥーミー>が監督を務めた本作は、2018年の第42回アヌシー国際アニメーション映画祭で観客賞、審査員特別賞、最優秀音楽賞の3冠を獲得。第45回アニー賞では最優秀インディペンデント作品賞を受賞したほか、数々の映画祭で高く評価されています。また第90回アカデミー賞では長編アニメーション賞にノミネートされています。