『ボヤンシー 眼差しの向こうに』@<ロッド・ラスジェン>監督
7月
31日
パノラマ部門に出品された本作は観客投票では3位を記録、さらにエキュメニカル審査員賞を受賞するなど現地でも話題となり、昨年のアカデミー賞においてはオーストラリア代表作品として外国語映画賞に選出されました。
オーストラリア人監督の<ロッド・ラスジェン>の長編デビュー作となる本作は、監督自身が長年にわたり取材した奴隷労働の現実をフィクションに落とし込んだ作品で全編クメール語とタイ語で描かれています。
主人公でカンボジアの貧しい田舎からタイへ働きに出た14歳の少年「チャクラ」を演じた<サーム・ヘン。は、奴隷として陸から遠く離れた船の上で絶対的な権力を持つ船長のもとで働きながら徐々に人間性を失っていく姿を壮絶に演じています。
迫真に迫った映像は、観る者に今なお残る奴隷労働の事実を突きつけながらも、映画という手法を用いて少年は家族と別れどのように生きていくのか、生きるためにどんな選択・決断をするのか、などの疑問を現実のものとして、鋭く訴えかけてきます。