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今年の読書(22)『サムのこと 猿に会う』西加奈子(小学館文庫)

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本書は、 第152回「2015年)直木賞を『サラバ!』で受賞した<西加奈子>のすでに発表されています短篇作品3篇に、加筆・修正して新たに文庫化(2020年3月11日刊)された一冊で、タイトルにもなっています、(1)『サムのこと』、(2)『猿に会う』、(3)『泣く女』が収録されています。

(1)『サムのこと』は、なぜ「サム」と呼んでいたのかもわからない「伊藤剛」を、26歳の男女5人が、交通事故で亡くなった「サム」の通夜に雨の日に出向く話です。ゲイの僕「有本」の目線で、「サム」との思い出が5人の仲間とのエピソードを絡ませ、「誰が死んでも。何が起こっても、日常は変わりない」人間関係を描いています。

(2)『猿に会う』は、中学1年生からの仲良し3人組の25歳のパラサイトシングル状態の日常を切り取り、日光東照宮の陽明門のパワースポットへ旅行する顛末を通して3人の友情関係の源を描いています。

(3)『泣く女』は、和歌山県の高校野球県大会も終わった「ノリオ」が、同じ野球部の幼馴染の「堀田」と、卒業記念に、太宰治に憧れている作家志望の「堀田」の提案で太宰の足跡を追うべく青森県に旅行に出かけます。
ダダイズムに憧れる「堀田」だけに、海辺で「泣いている女」を見かけ、太宰のごとき小説を夢見て希望に溢れます。

どの作品も、昔からの友情関係を基盤に描かれており、人生の節目にふと相手に感じる「何か」を機微にとらえた短篇だと感じました。

ちなみに、『猿に会う』は、動画配信サービス「dTVドラマ」として「乃木坂46」4期生が出演、4月10日(金)より全4話として配信されています。
#ブログ #文庫本 #読書

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