『死霊魂』@<ワン・ビン>監督
2月
23日
2018年のカンヌ映画祭に特別招待された本作は、いまだに明らかにされていない部分も多い「反右派闘争」という中国史の闇に迫るドキュメンタリー映画です。8時間26分にも及ぶ上映時間、休憩2回を挟む3部上映、という圧倒的な大作です。
1950年代後半に、突然、中国共産党によって、反動的な右派と名指しされた55万人が、理由もわからず収容所に送られたという政治闘争。そこに世界史に類のない大飢饉が重なり、収容所は凄惨極まりない地獄と化し、大量の餓死者を続出しました。映画は、半世紀以上を経て「生還率10%」とも言われた収容所を生き延びた人々が、それぞれの体験をカメラの前で証言しています。『無言歌』(2010年)・『鳳鳴(フォンミン) 中国の記憶』(2007年)で描いたテーマと再び向き合った<ワン・ビン>監督が、忘れ去られた死者の声を掘り返していきます。
フランスとスイスの資本を得て、撮影は2005年から2017年にかけて行われ、120人の証言、600 時間に及ぶ映像素材から完成。このほど公開されたポスター画像は、証言者の姿と、収容所があったゴビ砂漠に野ざらしにされた人骨が異様な迫力で迫ってきます。
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