水星探査機「みお」打ち上げ成功@宇宙航空研究開発機構
10月
20日
水星は太陽に最も近い惑星で謎が多く、日本の探査機は初めて。同時に打ち上げた欧州の探査機に運ばれる形で総延長約88億キロを7年かけて航行し、2025年12月に水星に到着。上空の楕円(だえん)軌道を周回し1~2年、観測を行ないます。
水星の探査は機体を減速させるための軌道制御や、太陽の高熱から守る対策で高度な技術が必要で、今回が世界で3回目。他の惑星の引力を減速に利用するため遠回りの長旅になります。
探査の最大の目的は、水星が磁石の性質を持つ仕組みの解明です。地球では高温で溶けた鉄が内部で対流して磁力が生じていますが、水星でのメカニズムを探るため、磁力を観測して内部の構造を調べます。ナトリウムを主成分とする希薄な大気が存在する理由も探ります。
太陽以外の恒星では、すぐ近くに木星に似た巨大な惑星がありますが、太陽の近くには例外的に最も小さい惑星の水星があります。欧州と共同でこの原因も調べ、水星の成り立ちに迫る予定です。
水星探査機「みお」は直径1・8メートル、高さ2・4メートルの八角柱形で重さは255キロ。開発費は156億円。船が航行する水路や航跡を意味する「澪(みお)」にちなんで命名されています。