素直に読後感は「驚愕」という一言で、冒頭からこのような結末に結びつくとは、予測できませんでした。
第一章『教唆』で読者は、何が原因なのかわからないまま<ボク>という人物がどこかの街から逃れてきた公園で手荷物を奪われ、ホームレス生活を始め、食料を探していた神社で小学5年生の<麻由>という女の子から、お弁当を手渡されます。
<ボク>はお弁当を貰うために、<麻由>の同級生に対する嫌がらせに加担していきますが、手名付けた最後に自分を殺そうとする<麻由>を反対に絞殺してしまいます。
第二章『隠匿』で<ボク>は女性の<柿原知美>だとわかり、読者は意外な展開に驚き、また1年前に殺人及び死体遺棄容疑で指名手配されている立場であることが判明するのですが、<知美>が逃げ込んだアパートは、逃亡生活以前に社宅の隣に住んでいた<高山律子>で、殺したとされる<裕貴>の母親の住まいでした。
何とも不思議なふたりの共存生活を通して、女性の嫉妬・嘲笑・打算が描かれていき、最後の第三章『転落』にて「驚愕」の真実が待ち伏せている一冊でした。
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