生産性運動と国労 生産性運動中止へ マスコミと連携した国労の反撃 第五話
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国鉄があった時代 JNR-era
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国労のある幹部は、「記者のたまりへ行って、少しずつ話題を提供した。一度に大きく出るより、毎日でたほうが効果がある」と話していた。全体を書かず、一部だけ書いて、世論をリードする。「書かざるウソ」でもあった。<br>
生産性運動支援の「サンケイ新聞」経済部デスク〔当時〕の吉井匡明が、「マル生の時には、うちは抜かれっぱなしで弱った」と話していたが、国労は「サンケイ新聞」には趣向を凝らした記事〔全体から見たらウソになる記事〕を提供しなかったのだろう。「抜かれっぱなし」は当然で、むしろ名誉と言うべきだ。
火の車の経営に苦悩する国鉄当局が、その改善のための一方法として生産性を向上させようとする事情は理解にかたくない。しかし、問題はその進め方である。国労、動労を闘争至上主義として敵視し、一方、鉄労を協力的として保護するような印象を与えるならば、国労、動労の反発を招き、生産性向上の目的はとうてい達成できまい。国労、動労を過激にさせた根因には、公企体労働者の労働基本格が制限されていること、その制限に当局側が寄りかかって安易で一方的な労務政策を進めてきたことに対する不満の累積があることは否定出来ない・・・・</blockquote>
生産性運動の基本的な考え方は、ILOのフィラデルフィア宣言から出発し、人間性尊重の労使関係を柱としたものだが、国鉄当局がこの運動に取組んだのは赤字財政の再建対策が直接のきっかけであった。・・・国鉄の現状は生産性運動本来の趣旨から大きく逸脱した方向に進んでいると思う・・・マル生運動が労使関係をゆがめているのは、実権をもつものによっての"強権政治"的発想、それに管理者の家庭訪問が示すような労務政策の前近代性が根底に流れているからである・・・こうした発想を捨て、いかに労使関係の相互信頼を回復するかという観点から、この運動を出直すべきであろうがあることは否定出来ない・・・・
生産性向上運動は、民間企業の場合、組合員の企業意識と結びついて比較的スムーズに受け入れられた。これを国鉄のような独占の公営企業にストレートに持ち込んだところに、そもそもの問題があったのではないか。官僚的な労務政策で押し切ろうという当局と、イデオロギー的に反対する組合の問には対話さえも失われてしまったかのようだ。
気にかかることの一つは、生産性運動が「良識者」を育成する運動にすりかえられていることである。元来、所属する労働組合を基準にして「いい職員」「悪い職員」と色分けするやり方は本質的に誤りだと思う。重要なことは全員が誇りある再建にかかわっているという共通の認識を生み出すことではないか・・・・国労も硬直的な姿勢を変えてほしい。険悪な国鉄の労使関係も、原因の大半は双方が全く意思疎迎を欠いていることによる。ストの時だけではなく恒常的な労使協議のルールをこの機会にぜひ確立することを望む
二時間ほどかけて書いた記事がプラウザクラッシュして全て消えてしまって、無茶苦茶落ち込んでいます。
長らく更新できませんでしたが改めて更新させていただきます。
今回はマスコミによる生産性運動への攻撃という内容なのですが。
本来であれば、故黒野資料からと言うところかもしれませんが、敢えて鉄労の国鉄民主化への道「鉄労友愛会議」編から、引用させていただこうと思います。
国鉄当局が進める生産性運動に対し、国労は当初は、独自の運動を展開していきましたが、あまり効果はありませんでした。
そんな中、国労はマスコミを使うことを思いつき、マスコミによる攻撃を開始しました。
国鉄民主化への道から引用してみたいと思います。
当時に企画部長は、マスコミを利用することを思いつき、実行に移すのですが、まさにそれがピタリとはまったという状況であったそうです。
当時、国労は活動費とは別枠で、マスコミ対策に1億円の現金を用意して対応に当たったとされています。1億円、現在の価値であれば概ね10億円という膨大なお金でマスコミを国労は動かしたのでした。
国労とすれば潤沢な活動資金がありますので、こうしたことも可能で有ったのだと思いますが、以下の用に国鉄民主化への道でも書かれていますが、国労の都合のよい内容で記事を書くので世論もそれを信じてしまうことになりました。
中立であるべき新聞記者たちが、国労の宣伝プロジェクトの真中にいて、後で述べるように、国労の都合がよいように、各自の新聞でじゃんじゃん書くのだから、生産性運動を進めている国鉄当局や鉄労は溜まったものではなかった
当時企画部長だった富塚三夫は、
私は磯崎氏(国鉄総裁)を中心とする官僚支配体制が一番弱いのは何かと言うことを考えた。これはマスコミに一番弱い。僕はそういう風に官僚の体質の弱さを見抜いて新聞記者のところに駆け込んで、いろんな内容を全部社会的に告発し、暴露することをやったわけです。それが異様なほど社会的関心を呼んで回り出し・・・
と有るように、当時の企画部長はほぼ連日、記者クラブに行って。国労に有利なニュースを連日流したわけであるが、その中でも毎日新聞の記者であった、内藤国夫氏は生産性運動への攻撃を何度も何度も書いた人物とされています。
国労から大変頼りにされた「毎日新聞」の記者だった内藤国夫の著書を見ると、喜んで国労と共闘した様子をはっきりと書いている。
そして、それよりなにより大きな騒ぎが持ち場で発生して、それで連日の紙面を賑わすのが大好きな私であった。
ということで、自らも世論をかき回すために積極的に記事を書いたと明言しています。
そして、この流れは他のマスコミにも広がり、連日紙面ではマル生運動のことが出ない日はないほど多くの記事が書かれることになりました。
続く
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第三十三条 日本国有鉄道は、左の各号の一に該当する場合においては、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第三十二条、第三十五条又は第四十条の規定にかかわらず、その職員をして、勤務時間をこえ、又は勤務時間外若しくは休日に勤務させることができる。そして、こうした事実があったと社会党を中心に、・共産党・公明党等も委員会などで責任追及が行われたと書かれています。一 災害その他により事故が発生したとき。 二 災害の発生が予想される場合において、警戒を必要とするとき。 三 列車(自動車、船舶を含む。)が遅延したとき。
これらの「事実」が摘発される度に、国会においては社会党を中心に、共産党・公明党が加わり社労・法務・地方行政委員会の場で、労働大臣、国鉄総裁、警察庁長官に対し、不法行為、団結権侵害行為の責任追及がなされた。また府県議会においても現に不当労働行為を行っている駅長、工場長、職長、区長及び局長などの責任者の喚問が行われた。更にこれらの「事実」は、進行中の公労委の審理や裁判闘争及びILO闘争における有力な資料となった。そればかりか、かつて無い大型調査団という構成と摘発された事実の内容のすさまじさとあいまって、ジャーナリズム・マスコミ関係者の強い関心を引き出すことになった。引用終わり
朝新聞も「マル生運動の行き過ぎを是正せよ」として「所属する労働組合を基準にして、いい職員、悪い職員と色分けするやり方は本質的に誤りだと思う。誇りある多数者の形成は、差別や不当労働行為から決して作られはしないと主張した。(71.10.1)また、東京新聞は「古い国鉄一家的意識でマル生運動を進めようとするのでは、反発を招くばかりで.話し合いの機会さえつかめない」とし、「特に当局側に労働対策の姿勢転換を求めざるをえない」と強調した。(71.9.24)
旭川地本は、当局との間で不当労働行為の中止・労使関係正常化の折衝をはじめるに当たって、次の馬事項についての意思統一を行った。以上のような内容で、地本と当局による折衝が行われて、下記の通り確認がなされることとなりました。
- 一連の不当労働行為に抗議するため「団交」を停止し、当局がその不当性を認め、それに対する措置を今後やらないという確認、実証が示されるまで団交は再開しない。「団交再開の場合」は、組合の基本要求の先行解決を前提条件とする。
- それらの問題が整理されるまで、36条協定の締結はしない。
- 労使関係の正常化を図るため折衝(交渉)は、委員長と局長会見の結果で決める。
確認事項 71年6月3日付
- 不当労働行為と疑いを持たれるようなことは今後やらないよう十分指導、徹底する。
- 局の課員に対し。組合所属の総意によって差別的な扱いはしない。
- 鉄労への加入しようなどは組織介入であり、やれるものでもないし、やらない。
- 処分については十分慎重に取り扱う。
- 労使対等、組合不介入の原則に立ち、今後、組合にたいする不当な介入・干渉をしないこと。
- 今次春闘に際し現場管理者など当局側に不当労働行為に類するいくつかの行き過ぎのあったことを認め、以後このよう な行為がおこなわれないよう十分注意指導すること。
- 組合所属の相違、および組合活動家であることをもって、昇職、昇給、登用など人事に関し差別扱いをしないこと。
- 偏向教育や、本人の意思に反する教育を強制しないこと。
- 不利益取り扱い、または、支配介入等の不当労働行為はおこなわない。
- 不当労働行為と疑われるような行き過ぎのないよう注意し、十分指導する。偏向教育はおこなわないし、また強制しな い。
組合発表によれば、10月1日現在で、組合員数は、79,672人だとのことだった。「来年までに10万人突破」が合い言葉になっていた。
支社制度がなぜ成功しなかったのか。一番の理由は、支社幹部の人事権を、本社の系統別の親分が握っていたことだ。支社の幹部が2.3年すれば本社勤務になる。と言うようなことでは、支社制度のうまみは発揮できない。
当局の幹部をどうしても"資本家"にしないと、階級理論が成り立たない。だから、「総裁や常務理事の賃金を公開しないから資本家である」などと変なことを言い出すのである。総裁への賃金など、社会党が国会で質問したら直ちに明瞭になる数字だろう。
国鉄の「赤字」論がやかましい現在、国民は、国鉄の経理内容の公開を求めています。しかし、総裁以下役員及び管理者の賃金さえも公開していません。公開できないのでしょうか。これでよく「成果の公正配分」を労働者にということが出来ると思います。(中略)生産性運動の3原則とは、雇用の拡大=事実が示す人減らし、労使協議=無条件協力の話し合い、成果の公正配分=大きなスプーンは使用者に、である。(リーフレット第四話)などとなっていた。
企業の発展を促進するために、産業民主主義の徹底した定着を図らなければならないが、それには労使協議の実効的な制度が必要である。産業民主化実現のためには、官僚制の打破と職員の経営参加が必要だ。
生産性研修は管理局長に対しても、強い自己反省の機会となった。「組合側に闘争をやらないでくれと当局は頼んでいた」「組合の前に当局は妥協に妥協を重ねてきた」「私自身忸怩たるものがある、もっと勉強したい」というような発言が相次ぎ。「もはや組合と対決しかない」というのがほとんどの局長の結論であった。
- 雇用の維持拡大
- 労使の協力と協議
- 成果の公正な分配
最近特に注目されることは、国鉄当局が、管理者、職場の中堅職員に生産性運動を徹底的に行っているという事実であります。私たちは経営者が生産性教育を実施するのは当然のことだと思いますし、我が国の有識者の手によって、昭和30年から発足したこの運動を、昨今要約取り上げたことについて、むしろ遅きに失するものと、かねてから指摘してたところであります。
それだけに、国鉄当局が進めている生産性教育が、効果的で正しく普及することを期待するものでありますが、現在のところ粗製濫造の感があり、生産性運動の真の意義を体せず、超過勤務の強制、分担業務以外のものの強要という誤った形に昇華されようとしている事実が随所に現れつつあります。(中略)私たちが正しい生産性運動の理論を身につけることは、当面の重要でかつ急を要する課題だと思います。
(71春闘5・20決戦スト)
71年春闘は、5月の中旬以降の最大のヤマ場を迎えることになった。すなわち、13、14日の強力順法闘争、団交の決裂、調停作業の難航という情勢の中で、ついに20日、春闘の決着を付けるべく公労協の統一ストライキが実施された。公労協の他の組合がストを中止した後も、国労・動労は完全共闘の姿勢を崩さず19時間にわたるストを打ち抜いた。
もちろん、このストライキに対しては当局側による激しい妨害が行われた。例えば、スト不参加を求める大々的な署名運動、利益誘導。家庭訪問等による国労・動労からの脱退強要、スト破りの妨害工作などが、鉄労・「マル生」グループの総掛かりで行われた。そうした攻撃にもめげず、「国労・動労完全共闘」によるストが打ち抜かれたことは。組織防衛のたたかいと同時に、「職場からの反撃運動」を構築するうえで極めて大きな効果があった。