新性能電車の幕開け 第1話
12月
5日
しばしお付き合いくださいませ。
1)今までの常識を変えた湘南電車
昭和25年に「運行を開始した湘南電車は、今までの電車の常識を覆すこととなりました。
それまで、電車は振動も多く長距離の移動には向かないのでせいぜい60km程度までの距離を走るものと思われていました。
100km以上の距離を走る湘南電車は、電車の新しい可能性を示すものと言えました。
80系電車は性能的には吊りかけ駆動のため、分類上は旧型国電ですが、電車による可能性を広げたことは間違いありません。
2)新駆動方式による高性能電車の誕生
昭和27年には、新しい駆動方式、カルダン駆動が国鉄の電気式気動車キハ44000形でが初めて採用され、45kWモーターを駆動する方式が試験的に採用されたました。
しかし、閑散線区に電気式は不利ということから、電気式気動車は、全車液体式に再改造されましたが、日本初であることには変わりありません。
翌昭和28年には、東武の5700系が直角カルダン駆動方式でデビュー、京阪1800系はWN駆動としてデビューするのですが、東武5700系が初期故障に巻き込まれていた中で、京阪は完成後直ちに営業運転に使われるなど安定した走りを見せました。
ということで、新性能電車(カルダン駆動)の最初の営業運転は京阪ということになりますが、この頃から私鉄では積極的に新性能電車(当時の表現を借りれば)を導入が検討されていきました。
3)眠れる巨人、国鉄
国鉄でも、新性能電車の設計は検討されましたが、その動きは緩慢で、昭和28年当時は63形電車から72形への改造が昭和26年の桜木町事故から行われており、昭和27年当時も半鋼製のモハ72形電車が増備されていた時代でした、全金属タイプの72形電車が登場するのは昭和31年まで待たねばなりませんでした。
しかし、昭和31年頃、大手私鉄は着々と新しい電車を導入して、近鉄では奈良線用として800形を増備したり、阪神でも3011形がジェットカーとして新性能電車が運転を開始していましたが、巨像はまだ、目覚めないと言った状況になっていました。
国鉄の新性能電車がデビューするのは、昭和32年に登場するモハ90系(後の101系)まで待たねばなりませんでした。
101系については、みなさんもよくご存知と思いますが中央線の慢性的遅延を解消するために導入が検討されたものであり全車電動車で当初は3.2km/hの加速を計画していました。
続く
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