20日、関脇<貴景勝>(28・常盤山)が現役を引退することが秋場所13日目に発表されています。師匠の<常盤山親方>(元小結・隆三杉)が、この日の午前に日本相撲協会へ引退届を提出したことを明かしています。今後、年寄「湊川」に向けた手続きに入ります。
9度目のカド番で迎えていた7月の名古屋場所では5勝10敗に終わり、2度目の大関陥落。10勝すれば1場所での大関復帰がかなう秋場所は連敗スタートで、3日目から休場となっていました。
兵庫・芦屋市に生まれ、報徳学園中3年時には中学横綱のタイトルを獲得し、日本一に輝いています。名門・埼玉栄高に進学し、全国高校総体団体優勝や全日本ジュニア体重別100キロ超級、世界ジュニア無差別級制覇など数々の栄冠を手にしてきました。
当時の<貴乃花親方>が師匠を務めていた貴乃花部屋に入門し、高校在学中の2014年秋場所に本名の「佐藤」のしこ名で初土俵。突き押しを武器に番付を駆け上がり、2016年夏場所で新十両、2017年初場所の新入幕を機に、当時の師匠が好きな戦国武将の<上杉景勝>が由来となる「貴景勝」に改名しています。2018年初場所で新三役に。
<貴乃花親方>の退職に伴い、2018年10月に千賀ノ浦部屋(現・常盤山部屋)に移籍後、小結だった九州場所で初優勝。22歳3か月での優勝は1958年の年6場所制以降の初土俵で年少6位の記録でした。2020年11月場所で11場所ぶり2度目の優勝を挙げ、幕内優勝は計4度を数えています。
2019年春場所後には大関に昇進。初土俵から所要28場所は年6場所制以降では、幕下付け出しを除いて6位のスピードでした。
突き押し一本で横綱を目指すべくさらなる奮起を期しましたが、苦しんだのが首のけがでした。2021年名古屋場所2日目の<逸ノ城>戦で首を負傷し、途中休場。「頸椎(けいつい)椎間板ヘルニアによる神経根症」によるものでした。その後も度重なる首の負傷に加えて足首や膝、大胸筋のけがなど次々とけがに見舞われました。1場所での大関復帰を目指した今年の秋場所も、首の不調などで相撲を取る稽古ができず、ぶっつけ本番の状態でした。大関在位30場所を数えましたが、〈優勝4度・幕内在位46場所で通算353勝219敗・金星3個・三賞は殊勲賞3度、敢闘賞2度、技能2度〉の成績を残しての引退です。