今年の読書(8)『死の扉』小杉建治(双葉文庫)
2月
20日
本書『死の扉』は、2020年10月21日より単行本が刊行され、2025年1月15日文庫本が発売されています。
横浜地検の「華岡徹検事」は元プロ野球選手である「三和田明」の妻の殺人事件を起訴しましたが、犯人逃走を目撃した「田中真司」の証言が決め手で無罪となりました。
証言した「田中真司」の息子「田中淳」は、飛び降り果事故死か不明のまま「マンションからの落下で入院後、亡くなっていました。「華岡徹検事」は、「田中淳」に対する安楽死問題で、担当した「山中征爾」医師を取り調べているところでした。
全く関わりのない2つの事件に共通点が発見され、徐々に真相が明らかになっていきます。同時期に「華岡検事」の母親に対する終末期鎮静についても、義父から決断を迫られていました。
法廷劇が得意な著者ですが、本署は事件調査する検事の手腕もさることながら、家族の終末期医療・安楽死問題のあり方を問う、ヒューマンミステリー仕立てで、考えさせられる一冊でした。