今年の読書(47)『希望の糸』東野圭吾(講談社文庫)
8月
6日
刑事「加賀恭一郎」シリーズは『卒業」(1989年5月8日刊行)に始まり第8作目『新参者』(2009年9月18日刊行)で「練馬署」から「日本橋署」に移動になり、第10作『祈りの幕が下りる時』(2013年5月13日刊行)に続く第11作目となりますが、「加賀恭一郎」も脇役的に登場しますが甥の「松宮修平」が主人公として扱われています。
大きな伏線として冒頭は「汐見行伸・怜子」夫婦の話で始まりますが、急転して小さな喫茶店を営む女性経営者が店舗内で刺殺体で発見されます。「加賀」と「松宮」が捜査しても彼女に関する手がかりは善人というだけで男関係もなく不審者は浮かんできません。ただ、彼女のジム通いなど不可解な行動を調べるとある少女の存在が浮上してきます。
刺殺事件の捜査中に、「松宮」に金沢の料亭の女将「芳原亜矢子」〈自分の父があなたの父親です〉と、金沢で息を引き取ろうとしていた料亭の主人の遺言書に「松宮」の名前があるということで連絡が入ります。
ひとつの刺殺事件を通して、夫婦関係、親と子、家族という主題でまとめ上げた、見えないつながりの<糸>を掘り下げた内容でした。