人工の流れ星@「ALE」
1月
14日
衛星を作ったのは、2011年に設立された宇宙ベンチャー「ALE(エール)」(本社・東京都港区:CEO岡島礼奈(39)です。衛星は縦横各60センチ、高さ80センチ、重さ68キロ。打ち上げ後、高度約500キロで分離し、ゆっくり降下しながら姿勢制御などの試験を約1年続けて、2020年春の実験に備えます。
流れ星の「もと」となる直径約1センチの粒が放出されると、大気圏で熱せられ、高度60~80キロで光る。金属の粒は「社内で数人しか知らない」という特殊な素材で、青、緑、オレンジの3色に光る。落下速度は通常の流れ星より遅く、最大10秒ほど輝く。地上試験では狙い通りに光らせることに成功した。
課題となったのは安全性。宇宙で衛星から物体を放出するのは前例がない。国際宇宙ステーション(ISS)や、ほかの衛星に衝突する恐れもあるため「常識から逸脱した計画だ」とされていました。
JAXAと検討を重ね、粒を放出する方向や速度、位置などを高精度に制御するシステムを作り、運用や装置の安全審査基準も整備されています。放出の高度は、ISS軌道より低い390キロに下げ、粒が上空で燃え尽きることも確認しています。「衛星を持つ他国が、これなら大丈夫と言ってくれる基準」になっているようです。
放出精度のテストも繰り返し行われ、日本上空で発光させるためには、粒を豪州上空で放出する必要があります。粒は発光するまで15分間で約7千キロ飛行するため、放出角度が1度でもずれれば、発光場所は数十キロずれてしまいます。4大学(東北大学、首都大学東京、神奈川工科大学、日本大学)と共に人工流れ星の技術開発に取り組み、精度の高い放出装置を作り上げています。